5月23日 ギンガムチェックの傘

雨上がりの街。
水面に残った雨が、水飛沫となって車の後を追っている。
やがて、静かに空へと舞い上がり、またいつの日か地上に落ちてくるのを待っている。雲の隙間から、ぼんやりと。

そんな循環を思い浮かべたのは、ついさっき思い出した、死んでしまった母のことがあったから。
火葬の日、火葬場から舞い上がる煙のようなものが空に昇っていくのを見た。
それはどこまでも舞い上がっていくように見えたけれど、そのまま宇宙まで飛んでいくとは思えず、どこかの雲に紛れて、母は小さな塵になってしまったのだと思った。
そうしてまたいつの日か、私の傘にぶつかる雨音が、母の戻ってきた時を感じさせるのだろう。
それは私にとって楽しみな出来事で、大好きだった母が、私の傘だと思ってくれるように、母が選んだギンガムチェックと同じ模様を何回も買い続けているのだ。