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  • 8月5日 善く生きるということ

    8月5日 善く生きるということ

    心療内科からきちんと卒業するということ

    6時くらいに起床。サクッと朝食、出社。この辺り何も考えずに動けるようになってきた。心療内科で処方されている薬を飲まないという選択肢を取っている今、将来的に挫けるようなことがあったらまた心療内科に行けば良いのだろうけど、このままいけば、次回の予約分から行かないということになる。
    心療内科からの脱却。正しくないやり方だと思っている。だって心療内科の先生と何年も付き合っていて、先生から、もう薬いらないと思う、来なくていいよ、って言われていないから。
    何度か減薬の相談をしたこともあったんだけど、一旦様子見で、っていう感じではぐらかされ? 2年近く同じままで続いていた。別に不信感を抱いているということではないのだけれど、このままずーっと薬を飲み続ける生活を送るのではないかと思ったりしてる。

    心療内科からちゃんと「卒業」する人って、通ってる人の中で多数を占めるのだろうか。私はここ 2年くらい、それこそ減薬を相談するくらいに調子が良く、鬱っぽいことを考えたり、そっち方面の気持ちが心に充満したり、ということからだいぶ脱却できてきた。それでも先生の言葉を信じ、通っていたけれど、さすがに 2年くらい減薬の相談をしても、私の願い?期待?通りに処方箋を更新してくれなかったのは、ちょっとどうなの、と思っている。

    だから私は、だいぶチャレンジングだと自認しているけれど、もう心療内科に行かない、という選択肢を取るのだね。そして、処方された薬を自分の意思で飲まない、という選択肢を取るんだね。

    きっと危険なことなんだろう。分かってる。またいつか、そういう系の衝動が急に芽生える可能性は、ゼロではないのだろう。
    私は薬を飲まなくなって、そしたら朝、快適に起きられるようになり、午前は眠くならず、いい感じにランニングしたりして、お酒の量を減らして健康への意識を高めるようになった。

    これってどう見ても、善いことなのではないだろうかね。
    私は、死ぬ時に後悔しない生き方を、というモットーを心に抱いて生きているから、その目的のためにどうしたらいいのか、ということを考えながら生きている。

    それってソクラテスの時代から言われているような、「善く生きる」ってことなのかもしれない。

    小野寺文宣 ひと 読了しました

    巻末の書評で中江有里さんが「実直」という言葉を使っていたけれど、全くその通り、これほどまでに実直な青年に、だいぶ感情移入してしまった。主人公は自分の人生を控えめに生きてきたけれど、だんだん、自分の意思で生きるようになるんだよな。
    そして、実直という言葉の通り、まさに誠実に生きている。両親を亡くし、お金に困窮しても決して挫けず、前を向いて生きているその姿を、善く生きると言わずして、なんと言えば良いのだろうか。

    昨日、まだ途中だけど、って体でその時点での読書感想文を書いた。
    そして今日、読み終わったけれど、この作者の、日常の描き方が本当に好きだ。そして、登場してくる人の温かさに関する描写が、とても適切な言葉で綴られていて、想像しやすい平易な言葉だし、その言葉の選び方がまた良かった。
    一人称、つまり主人公の目線で描かれているから、20歳の男子という目線で書く必要があるんだよね。だから、難しい言葉を使うわけにはいかないし(一般的な20歳の男子が知っている世界での、言葉を使うという意味)、そして行動や思考だってそのスコープに照らして書かないといけない。
    当たり前のことだけれど、これが自然にできないと、この主人公、実は何歳?みたいなことになってしまう。そういうところって自分の経験でできるのかなぁ、みたいなことを考えていたら、私の記憶の深さ、豊かさについて考えるようになった。

    20歳代の記憶が一番エモくて強い

    私は47歳になった今でも、大学時代にバイトしていた焼肉屋での風景や、そこで出会ったお店の人たち、お客さん、みたいなところの夢をよく見る。
    別にトラウマがあったとかではない。焼肉屋を営む家族みんなが優しくて、それこそこの小説に出てきた惣菜屋のみんなみたいな感覚だけど、だからイヤな思い出はほとんどなかった。

    一方、例えば、結婚してからとか、ここ10年くらいの記憶や経験をベースにした夢ってあまり見ない。それって、私の意識的に拾える脳の引き出しに入っていない、もしくは違う引き出しを見ているのかな、と思う。
    ここ10年、例えば妻や子供たちを愛していないとか、そういうことじゃないと信じる。私が家族のみんなが大好きだし、彼らが風邪をひいて熱を出しただけでも心配でしょうがない。家族のために全力で仕事をしているし(このへんも善く生きるに繋がるのかも)、だから、家族と得た経験や思い出は20代の頃のそれと比べても劣ることなんて全然ないと思う。だって家族旅行だってめちゃくちゃ楽しいし、行ってよかったといつも思うし、だから定期的に夢に出てきてほしいな、思い出を振り返りたいな、と思う。だけど残念ながら夢に出てくるのは、20代のあの頃なのだ。

    つまり私の中で、取り出しやすい引き出しにある記憶って20代の頃で、それがとてつもなく強いレベルで保管されているように思う。エモい。眠くなってきたので唐突だけど終わり。何が言いたいのか良くわからなくなってきたけどこのまま投稿して寝る。

  • 8月4日 いろいろな気持ちを抱いた。それも日常の一コマ

    8月4日 いろいろな気持ちを抱いた。それも日常の一コマ

    毎日同じようなことを考えている

    6時台に起床。二度寝はせず。サクッと朝食を摂って会社へ。今日は楽なつくば。
    出勤中は小野寺史宜の「ひと」。チャッピーにおすすめされたもの。
    初めて読む作家さんで、前情報が何もなく、チャッピーからは「お前に合うかもよ」って言われただけなので、正直あまり期待していなかった。
    だけど、これはドはまりの予感しかしない、と感じた。まだ読了していないけれど、後述しようと思う。
    会社に着いて、バレットジャーナルで昨日やり残した仕事を確認する。

    最近のバレットジャーナルの使い方としていいな、と思ったのが、デイリーログを「今日の予定」として入れるのではなく、「今日やった結果(ログ)」として入れる、というやり方。
    メリットは、やったことを確実に残せるということ。あと、仕事に取り掛かる前に、他のタスクのことを考えなくなること。つまり集中できる。これはデカい、と思った。
    私は割とマルチタスク系な人間で、だから他のタスクが気になってしまう。仕事をしていて、同僚からTeamsで問い合わせみたいな相談が来ると、気になってしまう。これは非常に良くない。結局仕事が想定より遅くなってしまったということも多々ある。
    だから、仕事に集中するために、他の仕事には目を触れないということが必要なのではないかと考えるようになった。

    デメリットは、これまた割とインパクトがデカいんだけど、「本来やらなきゃいけないこと」を見逃してしまうという点。これはデカい。大切なタスクを見逃してしまうというリスクがあるから。仕事効率化というカテゴリーで括られる、仕事術として、適切なタスク管理はその中心的存在だ。それを根底から無視してしまう、とも考えられる。これは対策が必要。

    そこで私は考えた。私はA5のバレットジャーナルと共に、A7のメモ帳を肌身離さず持っている。これはアイデアとか、やらなきゃいけないこと、小説のネタに使えそうないい感じの状況などを逃したくないから持っているんだけど、こっちにToDoリストを毎日作って、そっちを日々の予定表扱いにする。
    こうすることで、それぞれの持ち味が発揮される。ToDoリストを肌身離さず持つことで、タスクの取りこぼしがない。ロディア No.11を始めとするA7メモ帳は、ミシン目が入っている。だから、常に最新のToDoリストが、開いた瞬間に登場する。毎日の終わりにはそのミシン目で捨てるから。終わったタスクはToDoリストで斜線等を引いて終わりにしてもいいんだけど、そこでバレットジャーナルで日々を記録する。この組み合わせはなかなか良い気がする。この辺りのアイデアで本を書きたいんだよなぁ。

    小野寺史宜、ひとについて、途中まで読んだところでの読書感想文

    さて、上述した、こちらの本。

    ネタバレを含みます

    若い青年の話。お父さんとお母さんを亡くし、一人で生きていかなければいけないという、辛い境遇。最初にお父さんが亡くなり、それでもお母さんが頑張って私立大学へと進ませてくれたんだけど、そのお母さんが突然死してしまう。絶望。涙が止まらない主人公。そんな彼を応援せずにはいられない。そして、これ以上彼に不幸が訪れないでほしい、と切に願い続けながら読んでいる。

    今、だいたい半分くらい読んだところ。通常、読書感想文というのは、本を読み終わった時に書くものだろう。だけど私はこの途中段階で書こうという気持ちを抱く程度に、この本の魅力に取り憑かれた。まだ全部読んでいないけれど、今年読んだ本の中でトップを取りそうな気さえする。まだ読んでいないけれど。

    私は小説を読む時、作家さんの思考の拡げ方、癖、文末表現などを気にしながら読む。ストーリー展開は奇抜でなければだいたい良くて、ファンタジー要素は苦手で、現実に則した話であればあるほど好きなんだけれど、この辺りの作家さんの匙加減と、物語で取り扱われるテーマの両方が、私の好みにドンピシャだった。もし居酒屋でばったり会ったら私は、生ビールを奢り、普段どんなことを考えているのか聞いてみたい。そんな風にこの作者にも興味を抱いた。

    私がこの話をなぜ好きなのか、適切に言語化できないのが本当に悔しい。ストーリー的には、主人公の不幸が重なるという境遇と、私の息子に年が近いため、子供として見ている点、また主人公の控えめな性格が、とても普通で、日常で、その点がすごく好きだ。奇抜な登場人物もいない。みんな、どこにでもいるような人ばかり。だってそうだよ、それが日常なんだから。主人公は優しさに包まれたり、若干気持ちの下がるような、ネガティブなこと(両親が亡くなる以外で)を抱いたりしているが、「それでも生きていく」というスタンスに、とても好感を抱いた。(脱線するけれど、坂元裕二脚本の、それでも、生きていくってドラマ、好き)
    ホント、幸せになってほしい、と心から願う、そして、これ以上イヤなことが起きないでほしい、とドキドキしている自分がいる。この辺り、本を読み終わったらこの気持ちを抱くことができない。だから、あえて、まだ読み終わっていない段階だけど読書感想文を書こうと至ったモチベーションになったのだと思う。
    多分、明日読み終わる。その時はその時で、また読書感想文を書いてみたい。

  • 7月29日 もっと生きていたいと考える

    7月29日 もっと生きていたいと考える

    健康診断を申し込んだ

    7時30分くらいに起床。今日もつくばに出社。家からオフィスまで1時間かからないって本当にありがたい。電車も混んでないし。

    眼精疲労?なのか分からないけれど、これまた感覚的なことだから言語化するのが難しいんだけれど、普段、耳に、チー、みたいな高周波の音が鳴るのを感じると思うんだけれど、それが、眼球を上いっぱいに上げた瞬間だけめっちゃ増幅される感覚があって。私は体調不良でこれから熱が上がっていきそうな時にそれを良く感じるんだけど、そんな感じで体のどっかに不調を来しているのかな、と焦った。そして会社で年1回受けましょう!っていう健康診断に申し込んだ。今から約2ヶ月後。
    そしてそれをCopilotに話し、今イマの身長、体重、飲酒喫煙習慣などを話したところ、飲酒量を下げることと、適度な運動を勧められた。
    私は鉄は熱いうちに打て派なので、かねてから取り戻したかったランニングの習慣を再開した。とりあえず週3目指そう、って優しいCopilotは勧めてくれたけれど、個人的には、いけるんなら毎日走っても良いのではないかと思っている。
    で、早速今日、終業後に走った。かねてから気になっていたちょこザップの無料体験を申し込んで、7kmくらい走ってきた。心拍140くらい、ペースはキロ7分くらい。ケイデンス164。まずまずかな、って感じ。ラン後は身体的にはへっちゃらって感じだけど、走れるなら外ラン、そして朝だよなぁ。5時くらいに起きて20km走ってた頃が懐かしい。あの頃の自分を取り戻したい。
    そして今夜の飲酒。これは日常のペースにしていきたいんだけれど、今日はハイボール1杯だけ。ウイスキー50mlだけ。これで酔い気分になれるんならちょうど良いかもな。

    飲酒による機会損失

    これ結構デカいと思っていて、小説書いたり、読んだり、ブログ書いたり、刺繍したりっていう、夜、一人で楽しむようなイベントが酒によって妨げられてるのが割と気になっていて。
    私は本来、酒を飲みたかったのかどうかすらよく分からなくなってきてて。それもCopilotに相談したら、多分私は、1日を締めくくるイベント的な感覚で飲酒していたのだろう、と。
    確かにな、と思った。
    1日を締めくくるには別に酒じゃなくなって良いだろう。
    最近は毎日のようにこんな感じで1日を振り返ってブログを書いているけれど、これだって1日の締めくくりを彩るためのイベントとして昇格させても良いだろうに。
    確かにね、酔って気持ち良くなるのは分かるんよ。私はハイボールを3杯くらい飲むと良い感じに酔ってきて、その感覚を楽しんでいたのは間違いようのない事実だけど、それによって蝕まれる健康のことを考えたら、トレードオフじゃないだろ、と。むしろマイナスだろ、と。
    だから、基本、酒はハイボール1杯とか、ビール1本とか、レモンサワー1杯とかで終わりにして、だらだら飲む習慣を絶ってみようと思う。
    分からんよ、意思薄弱と自分でも認めるくらいだから、飲みたくなる日だってあるでしょうよ。だけどそれを毎日のイベントとして掲げるのではなくて、たまにのご褒美で捉えるくらいでちょうど良いのかもしれんね。ご褒美って考えてる時点でまだまだだろ、とも思うけど。

    湊かなえ Nのために 読了した

    奥さんから勧められて読んだ。物語が何層にも重なっていて、ストーリーの構成力とかすごいよな、と思った。私にはこんなのは書けない。ロジックを組み立てるところで私は破綻してしまいそう。うまくできた話だよなぁ、実際の生活にはこんなことは起きないだろう、って点で、私はそこまでグッと来なかった。私は日常を描く話が好きなんだろな。
    考察。贖罪っていうものに登場人物全員が執着していて、それを意識的に感じてる人もいるし、そうじゃない人もいるし、だけどそれぞれが持つ意識のもとに行動していて、それ自体は自分の本心に基づいて動いているんだろうけど、だけど他人の感情や行動に振り回されることもあるもんね。
    心理描写って点ではそこまで深く抉っておらず、だけど多くの読者に対して、最大公約数的なところで描写を止めるあたりはさすがだな、と。読者に委ねるところと、文章で語るところの攻め際って難しいよなぁ。そういうとこすごいわ湊かなえさん。他にも読みたいかと言われると、うーん、なんとも言えない。私は心に火が灯ると図書館で本を借りまくってがっつり読み込むんだけど、そこまでではなかった。心理描写で語るというよりかは、ストーリーテリング、ロジックの妙で読ませるタイプのように感じたから。

  • さよなら、ジャバウォック 伊坂幸太郎 ★★★★☆

    さよなら、ジャバウォック 伊坂幸太郎 ★★★★☆

    マンネリを感じるのはしょうがない、けれど伊坂幸太郎なりの味を確かめるために、もう一度くらい読んでみたい。これぞ伊坂幸太郎だよなと思わせる作品。すごいよね。面白いよね。思いついたことをいろいろ書こうと思う。起承転結などはなし、思いついた順に綴っていこうと思う。

    ジャバウォックというのは不思議の国のアリスに出てくるモンスターで、頭が混乱して何が何だか分からない状態に陥るそうだ。読んでないからわからないけど。

    相変わらずオシャレだなー、と思う。引用する哲学や歴史上の出来事、音楽など、引き合いに出す内容の豊富さに脱帽する。そういう点での知識欲求も満たしてくれるからすごい。
    過去と他人は変えられないというのは私の中での金言になってもいるから、その言葉をここまでフィーチャーしてくれるのは嬉しかった。やっぱそうだよねという気分になった。若干ネタバレになるけれど、その言葉が最後まで引っかかっているような気がして、そしてその言葉が結末の一つを表しているようにも感じた。

    小気味良い会話とかね。歳取ってるのに若々しい女性を描くの好きだよね。モダンタイムスに出てくるオバちゃんのことを思い出したよ。キャラが被るよ。

    先の読めない展開を綺麗に描くのすごいよなぁ。
    張り巡らせた伏線もきちんと回収するし。あの時のあの人がまさか、みたいなのが何度もあった。残り30ページまで、結末が読めない。多分、彼のことだからいい感じに、正義は勝つみたいなエンタメで終わらせるんだろうなと思いつつも、フーガはユーガの時のように双子の片割れがあんなことになってしまって(あの時は悲しかった!)、という結末を描いたこともあるから、もしかしたら今回も?!と半ばドキドキしながら読んだ。
    そして大円団(と言って良いのだろうか)を迎え、いろんなことがネタバレされ、読者の私は安堵したな、みたいな印象を持った。
    だけど正義ってなんなんだろうな、ここ最近の彼の作品には「いろんな面」での正義が描かれることが多いから、彼には彼なりの正義があった訳だし、ただ、それを他人にまで強制するかどうかとか、その辺りの線引きが必要なんだろうな。生きていく上でね。

    人は変われるのだろうかね。
    私の脳が、どこかの研究室のビーカーみたいなやつに電極で繋がれていたとしたら。何度も同じようなことを考えたことがあった。一時、その考えに固執したこともあった、けど、それを考えることの自分は自分自身だというデカルトの説に則って、それを信じることにした。
    思い出を何度も取り出してそれを愛でるのはもしかすると、その時代から飛んできたから記憶が鮮明なのでは、なんてことも考えたことがあったな。ついさっきまでその、思い出した時代に生きていた自分がいて、そこから一瞬で抜け出してきたとかね。証明する術がないから、ただの想像で終わってしまうんだけど。

    星4つにした理由。これは数多の作品を読んでしまったからということもあるのだと思う。私は彼の目新しい部分を少し期待していたけれど、いつもの伊坂幸太郎作品だよね、という点でまとまってしまったという点が、満点を取らなかったということ。あと、若干のファンタジー要素。苦手でして。
    これが最初の伊坂幸太郎です!ここから読みます!という人にとっては、入りやすい作品だと思う。彼らしさが出てるから、これを機に伊坂幸太郎が好きになりましたって人は、違う作品を読んでみることをおすすめする。長編が好きならぜひモダンタイムスへ。ハラハラドキドキしたいのならゴールデンスランバーも良いと思う。同じくらいのボリュームなら前述したフーガはユーガなどかな。

  • ニサッタ、ニサッタ 乃南アサ ★★★★☆

    ニサッタ、ニサッタ 乃南アサ ★★★★☆

    図書館で借りました。
    乃南アサさんという名前は知っていたものの、今まで読んだことが無かったので借りてみたという動機です。
    色んな仕事に手を出すも続かない、ちょっと残念なメンタルの主人公と、ひょんなことから知り合った女性など、個性的なキャラクターで繰り広げられる物語。
    人情系とでも言うべきでしょうか。人と人とが支え合って生きていく、というニュアンスも感じます。
    簡単に言うと「家族の姿」っていうものは、それこそ家族の分だけ違いがありますが、ベースにあるのは信頼することとか、助け合うとか、そういう温かい部分で支えられてるのでしょう。
    人との付き合い方で悩んだり、心がモヤモヤする時に読むと元気が出そうな気がします。

    ニサッタ=明日、という意味

    私を含め多くの人はこのタイトルから、明日という言葉を連想することができません。あえて、アイヌ語にするところもこの小説の大きな鍵になっているのですが、アイヌの人たちが「ニサッタ」と言う時、明日に希望を持って生きていこうぜ、のようなニュアンスを含んでいるように思います。
    開拓民たちと共存することができず、徐々に人口が減っていった先住民たちは、やがて混血という形にはなりますが、彼らの血を薄く引き継いでいく形になっているのでしょう。
    自分たちの民族が、どんどん減っていくというのは、なにもアイヌの人たちだけではなく、人口が減少している今の日本という国に住んでいる私たちにも言えることです。
    けれど私たちは「私たちの民族を絶やさないようにしよう」と常日頃考えているかというと必ずしもそうではなく、一方で日本に住んでる外国人たちがやらかしちゃってるニュースとか見ると、「俺たちの国を汚さないでくれ」と思ってたりとか、自由にいろんなことを考えているなぁと思います。私もその一人ですけれども。

    その他感想など

    小説を読んでレビューを書こう!と言う気持ちになったのは、ストーリーが面白く、きちんとすべてが収束していい感じになったのが気持ちよかったからです。
    直木賞を取る人って物語を構成するのが上手なんだよなぁ。さすがって感じです。
    私も小説を書くことがあるものの、きちんと物語を終わらせることができません。ストーリーが途中で成り立たなくなってしまうのはきっとプロット作りの段階で破綻しているからに違いないのですが、そういうこともなく、その流れに沿ってきちんと書き終えられるのって一つの才能ですよね。乃南アサさんもその一人なんだろうな。そして、違う作品も読んでみたいと思いました。
    今回、図書館で借りたと前述しましたが、この作品を選んだのは完全に「なんとなく」という気持ちからでした。私は短編集よりも長い方が好きなようで、この本は結構厚く、読み応えがありそうで、そういうところに期待を寄せたんだと思います。読んで良かったです。
    ★を5つにしなかったのは、今後に期待したいからです。構成力、書きっぷり、多くの部分で★5つの感じではありました。私はこういう作品に飢えていたのかもしれません。

  • # 52ヘルツのクジラたち 町田そのこ ★★★★☆

    # 52ヘルツのクジラたち 町田そのこ ★★★★☆

    ## 星4つ

    主人公は幸せな家族に恵まれず、感情移入してしまうとこっちまで気持ちが落ち込むような境遇。

    私は、この先、幸せな結末が待っているに違いないと信じながら読み続けました。

    どんどん先を知りたくなるような展開で、つまり私の想像をはるかに超えたストーリー展開が常に用意されていて、あっという間に読んでしまいました。

    このあたりが、星4つの理由です。5つにしなかったのは、物語が短かったなぁ、というのと、主人公寄りの、主人公を助けてあげたくなっちゃうってなってる人が多くて、そこがちょっと現実とはかけ離れてるかなぁ、という点です。私、きっと現実路線の話が好きなんだと思います。

    物語自体は、人との繋がりの部分が大きくフォーカスされていて、それがタイトルにも絡むのですが、この、「声にならない声」を放ってる人ってこの小説の中だけじゃないよなぁ、私だって、その、「声にならない声」を放っているけれど、それが誰にも届かないときってあるもんな。

    それって、つまり、孤独ってヤツなんですかね。

    ## 魂の番人

    文中に出てくる言葉で一番印象に残った言葉です。私は、「生きる」という意味を実感し、その意味の重たさを共有できる相手、と解釈しました。

    生きるという言葉、あまりにもよく使われるし、その言葉が本当に持つ意味の重たさと比較するとあまりにも軽いですよね。

    生き物って本来はシンプルで、生まれ、生き、そして死ぬという一直線上のレールを歩くだけで、その3つってそれぞれ強くて重たい意味を持っています。

    それぞれが同じくらい重たいものでしょう。

    だけど生まれるのと死ぬのは一瞬で過ぎ去るのにくらべ、生きるだけがとても長いです。

    ## キャラ立ちの良さ

    町田そのこさんの作品を読むのは初めてです。

    独特の空気感を纏いながら物語を綴る中で、その物語を進めていく役者たち、登場人物の個性がきちんと、ぱりっとしていて、とても良かったです。

    こういう友達がいたら人生が変わっていたかも、と思ったり。

    だいぶお節介な、世話を焼くのが好きな人が良くもまぁこんなに集まったもんだ、と逆に感心しました。それぞれみんな、物語を構成するのに必要な人たちばかりで、欠けていたら物語として成立しなかったでしょう。

    一部を除き(主人公にキツく当たる人たちは除く)、みんないい人たちばかりで、冒頭の感想で現実からちょっとかけ離れてません?って書いちゃってますが、理想的な社会生活は、こんな感じで助け合って生きていこうとするものなのかもしれませんね。

  • # 十角館の殺人 綾辻行人 ★★★★☆

    # 十角館の殺人 綾辻行人 ★★★★☆

    読み終えた後、しばらく呆然としてしまいました。

    あまりにも鮮やかなトリック、そして緻密に計算されたストーリー展開に、ただただ圧倒されるばかり。

    若くしてこれほどの作品を書き上げた才能に、嫉妬すら覚えます。

    ## ミステリ小説の魅力とは何か?

    普段、私は小説を読む際、物語の面白さはもちろんのこと、作者の文体や情景描写など、文学的な要素を重視する傾向があります。しかし、今回の『十角館の殺人』は、そのような私の価値観を大きく揺さぶる作品でした。

    ミステリ小説の醍醐味は、やはりその巧妙なストーリーにあると感じます。読者の想像を遥かに超える殺人方法、そして犯行に至る動機の形成過程。それらが緻密に組み合わさることで、読者は物語に深く引き込まれます。

    そして、トリックが暴かれる瞬間の犯人の心情描写。そこに共感できる部分があれば、読者は大きなカタルシスを得られるのではないでしょうか。私も、真相が明らかになる瞬間の高揚感を存分に味わいました。それは、まるでパズルのピースがカチリとハマったときのような、なんとも言えない快感です。

    ## 叙述トリックの衝撃(ネタバレ注意!)

    本作の最大の魅力である叙述トリックには、見事に騙されました。十角館が燃え、6人の焼死体が発見されたという報道。その時、私は登場人物の名前をメモしながら読んでいたので、ヴァンがいないことにすぐに気づきました。しかし、ヴァン=守須という事実に全く気づけなかったのです。

    中村青司が生きていると思わせるミスリード。その巧妙さに、まんまと騙されました。「まさかそんな…」と思いつつも、物語に引き込まれていく感覚。これこそが、ミステリ小説を読む醍醐味だと改めて感じました。

    登場人物たちの名前、そしてそれぞれの関係性を整理しながら読み進めていくことで、物語の面白さは倍増します。私も、登場人物たちの名前をメモしながら読み進めていくことで、より深く物語の世界に入り込むことができました。

    また、十角館という閉鎖された空間で起こる連続殺人という設定も、読者の好奇心を掻き立てます。外界から遮断された孤島で、登場人物たちが疑心暗鬼になっていく様子は、まるでホラー映画を見ているかのようです。

    ## ミステリ小説の奥深さに魅了される

    『十角館の殺人』は、単なる謎解き小説ではありません。登場人物たちの心理描写、そして物語の背景にある人間ドラマも、この作品の大きな魅力です。

    特に、犯人の過去、そして犯行に至るまでの経緯が明らかになる場面は、読者の心を強く揺さぶります。そこには、単なる猟奇的な殺人ではなく、人間の心の闇、そして悲しみが描かれているのです。

    この作品を通して、私はミステリ小説の奥深さを改めて知ることができました。謎解きの面白さ、そして人間ドラマの奥深さ。その両方を兼ね備えた『十角館の殺人』は、まさにミステリ小説の金字塔と言えるでしょう。

    ミステリファンはもちろん、普段ミステリを読まない方にもおすすめしたい一冊です。ぜひ、あなたもこの作品を通して、ミステリ小説の奥深さを体験してみてください。

  • # 思考を耕すノートの作り方 倉下忠憲

    # 思考を耕すノートの作り方 倉下忠憲

    ## 人の行動をサポートする役割

    メモやノートは、人が頭を使う時にサポートする役割を果たす。頭の使い方や、考え方をサポートするのだと言います。

    では一体、人間は、頭をどんな時に使っているのでしょうか。

    素人なりに考えてみると、意識的に頭を使う時と、無意識的に使う時があるように思います。

    意識的にというのは、今、私が文章を考えながらキーボードを叩いています。私が意図する文字を入力するために、指を動かしています。私はブラインドタッチが出来ますので、どの場所にどのキーがあるかというのは分かっているので、どの指を動かそう、というところまでは考えていません。おそらくここが、無意識に頭を使う、という点なのかなと思います。

    ## ノートを使うと、なにが良いのか

    冒頭でも述べましたが、

    • – 情報を収集する
    • – 情報を整理する
    • – アウトプットする(行動とか文章を書くとか

    この、「情報を収集する時」と、「情報を整理する時」に活用することができます。

    たまに、頭の中の構造が普通じゃない人は、ノートを使わずに情報収集、整理ができちゃったりしますが、私はそんなことできないので、いちいち書いて考えています。

    この本には、どんな時にノートを使えるの?という問いに対していくつかのパターンを載せてくれているので、ノートを自分の相棒にしていきたい!という人はこの本を読んでみることをオススメします。

    例えば、

    • – 日記
    • – 勉強・仕事ノート
    • – 会議・打ち合わせノート
    • – プロジェクトノート
    • – 発送・アイデアノート
    • – 着想ノート

    こんな感じです。10人いれば10通りの使い方があると思いますので、試行錯誤しながら自分に合ったノートの使い方を考えていくのが良いかなと思います。それ自体、楽しい作業で、あぁでもないこうでもないと自分と対話しながら作っていくのって楽しいですよね。

    ## デジタルとアナログの違い

    私は一時iPad miniとApple pencilでiPadのノートアプリに手書きで入力していたことがありました。しばらくは調子良い感じで書けてたんですが、結局は紙のノートに戻ってしまいました。この本で著者が述べているところで、納得したのが、以下の点です。

    > デジタルでは情報が多くなりすぎてしまうきらいがあります。多くなっても検索して見つけ出せるのだから問題ないとはいえますが、情報を保存するときに取捨選択を行わずポイポイ放り込んでしまうことが起こりやすいという点は気をつけておいたほうが良いでしょう。結果、できあがったそのノートは自分にとっての道具箱ではなくゴミ箱になってしまう可能性があります。(91ページ)

    確かにその通りだな、と思う一方で、紙のノートにしても同様で、ある程度取捨選択をしなければ、結局はゴミ箱のノートを作ることに変わりはないので、何でもかんでも書くのは気をつけようかなと思います。

    ## 私のノート

    このブログでも何度か書いていますが、私が使っているのはダイソーの100円ノートと、万年筆という組み合わせです。

    ダイソーだから安かろう悪かろうではなく、紙が厚く、万年筆の裏写りが全くしないのです!ここにたどり着くまでにいくつのノートを渡り歩いてきたか。。

    今年はほぼ日手帳を使わずに生活していますが、やっぱり、トモエリバーってすごかったんだなぁって思います。あの薄さなのに、モンブランのMで書いても裏写りしないってほんとすごい。日本の優れた技術って感じです。

    さて、私は何を書いているのか。

    だいたいが日記、読書ノート、小説用の着想といったところでしょうか。

    あまりフォーマットを設けておらず、強いて言えばノートの冒頭に数字6桁の日付を書くくらいでしょうか。

    私は上でも述べたようにアウトプットする(行動とか文章を書くとか)ために使うことが多く、何かしらきちんとしたロジックで自分を納得させて、行動に移すという性格なので、その点で、ノートを使う点は役立っているのかなと思います。


    思考を耕すノートのつくり方 自分の知的道具を手に入れる [ 倉下忠憲 ]


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  • 地下の鳩 西加奈子 ★★★☆☆

    地下の鳩 西加奈子 ★★★☆☆

    繁華街。キャバレーの呼び込みを生業としている男と、その近くの店で働くチーママの、淡いけど深い恋愛物語。
    これを恋愛と呼んでいいのか分かりません。恋愛なんて、200人いたら100通りの恋愛があるわけで。

    たまに旅行とかでいつもと違う、知らない風景に佇む家を見ると、あぁ私にも知らない世界があって、そこで生活を営む人がいるんだなぁと感慨深い思いを抱いたりしますが、それは旅行だけではなく、たまーに、繁華街でオトナなお店へ呼び込もうとする人たちもまた、私の知らない世界で住む人間なんですよね。
    今回、主人公となった人たちもまさにその中に住む人間たちで、小説ってそういう人たちの生き様や考え方を知ることができ、良いものだなぁと思います。

    吉田とみさを

    男を吉田。女をみさをと言います。
    みさをが起こした小さなトラブルに巻き込まれる形で、知り合い、そこから少しずつ交流を深めていくところ。
    吉田は比較的、プライドを持って生きている人間。西加奈子さんが何度か書いている通り「俺はこんなところで燻ってる人間じゃない」という思いを抱きながら、だけど今の生活から抜け出せない、いや抜け出さない姿勢が垣間見えます。
    男ってなんでこうなんでしょうね。
    私も同じようなところがあって、毅然として、誠実でなければいけないなんて思っている節があります。
    だけどそれって誰かから強制されたワケではなく、あくまでも自分の意思でそうしていようと思っているような。
    みさをはそんなところを見抜いていて、だけどそれを揚げ足を取るような、プライドを切り裂くようなことはせず、優しい姿勢で接していました。
    駆け引きと言ってしまうと稚拙な表現になってしまいますが、一方、みさをの方も、今まで知り合ってきた男たちと同じような付き合い方をするのかと思いきや、今までの男たちとは一線を画す立ち振る舞いをする吉田に対し、困惑する箇所もあったりして。
    ボタンを掛け違えたかのような生活が続き、お互いがお互いに依存し始めた頃に、吉田の懐が枯渇し、2人の関係性が変わってくるところの描写が面白かったです。

    「もう、金がない。」
    吉田は、そう言って、ぽろりと、涙を流した。
    不意をつかれた。
    みさをは、吉田を抱き寄せた。有紀子の絵を、昨日のチーフの姿を思い出し、不安だった。早く楽になりたくて、吉田の耳を舐めると、吉田は嗚咽しながら、みさをの服を脱がせた。
    地下の鳩 105ページ

    お互いに不器用なところがあって、とても愛おしい。
    恋愛に器用も不器用もなくて、それぞれ全力で恋愛に取り組んでいるはずで、吉田が、虚勢を張っているはずの吉田が、金がないと発言し、それは自分のプライドを捨てて、泣きながら、みさをに縋り付く男を見て、哀れに思ったのでしょう。一方みさをは病弱な妹や、キャバレーというキレイな場所で働く地味な女、チーフという別の境遇で暮らす2人を思いながら不安を抱えていたところだったので、吉田の泣き崩れる姿は、より一層哀れに思えたのかな、と思います。
    ↑と、書いていて感じましたが、私はイマイチきちんと理解していないかもしれません。
    男は、プライドを捨てる時、泣くのでしょうか。
    私は映画以外では久しく泣いたことがないから思いつかないです。が、映画を観て泣くのを、家族に見られるのはちょっと恥ずかしいです。
    感情が昂っています、というサインを受け取られることが恥ずかしいのでしょうか。
    引用したちょっと前に、みさをの家に泊まった時に使った灰皿が、誰のかと気にする吉田。みさをの全てを手に入れたいと考えているため、嫉妬してしまう吉田。
    そんな吉田に、少なからず共感を得てしまうのは、私も男で、吉田と似たようなところがあるからかもしれません。
    男の独占欲って人によってまちまちでしょうけど、これだけは手に入れたい!と思うようなものがあったら、他の人が手に入れようとするのを必死で排除してしまうのでしょう。可哀想な生き物です(褒めてます)。

    ミミィのこと

    この本は短編が2作入っていて、緩やかに連なっている作品なのですが、私の中では後半に訪れる「タイムカプセル」という作品の方が強く印象に残りました。
    のっそりしたオネエのミミィさん、イメージが完全にテレビで人気者のデラックスさんで脳内再生されましたが、壮絶ないじめを描くシーンは読んでいて辛かったです。
    地下の鳩、タイムカプセル、それぞれ、割とドヨーンとした空気に包まれている作品ですが、この、いじめのところの下降曲線っぷりがすごかった。
    報われてほしいなぁと思いつつ、ミミィさんのことを好きになりました。

    星3つ

    3つか4つか迷いました。心情描写が良かった、ストーリー展開が面白かった、場面展開がイマイチ良くわからなかった(多分これは私の想像力不足)、ってところでしょうか。
    西加奈子さんは私の中ではサラバ!と夜が明けるが特に素晴らしくて、それぞれ、良かったのは友情を描いていたところなのかなと思ったり。西加奈子さんの恋愛もの、初めて読みましたが、恋愛ってパッと見、キラキラ、ドキドキすることが多く、だいたいそれは若者たちの恋愛にて描かれることが多いように思いますが、そうではない、一線を画すような恋愛もので、綺麗なだけじゃないんだよなぁーと思ったり。
    新しい世界を見ることができて良かったです。

  • # 綾辻行人 another ★★★★☆

    # 綾辻行人 another ★★★★☆

    読書って山登りみたいなところがあって、山登りって言っても茨城の筑波山に登った経験くらいしかないんですが、小説を読み進めていくと、途中、ん、なんだこれみたいなところがいくつかあって、その答えが後になって分かることって良くありますよね。

    山登りは、歩いているうちにこれから登ろうとする頂上が見えるじゃないですか。あの山をめがけて登っていこうみたいな。あの山、頂上にたどり着いた時にはいったいどんな景色が待っているんだろう、その時に抱く気持ち、予感を胸に秘めながら山を登り続けていく。一歩一歩、足を前に出して、ゆっくりと登っていく。一歩一歩は小さな一歩だけど、それが積み重なって大きな達成を得ることが出来たり、というのは自己啓発系の本とかにも書いてあったりしますが、

    脈絡のない話を、とりとめもなく書いてしまいました。本題に入ろう。

    ## 達成感の話

    綾辻行人さん、初めて読みました。

    うちの子ども繋がりで知り合った方から、オススメいただいて。

    謎解き?ホラー?ジャンルはちょっと良く分からないんですが、少しずつ、玉ねぎのように纏った謎が解かれていくのを理解する時、めっちゃ気持ち良かったです。

    冒頭に山登りを挙げましたが、山を登りきった時の達成感ってこんな感じなのかもな、と思いました。

    今回読んだのは平成21年12月の再版本で、あとがきを除く本文だけで637ページという大作、読むのに腕が疲れましたが、この厚みっていうのも山の高さに似てるよね。

    全部読み終わるころには今とは違う景色が見えるんだろうなぁ、楽しみだなぁ、という気持ちを終始抱きながら読んでました。

    ## 初体験だった綾辻行人さんの描き方

    とても分かりやすいなぁと思いました。読者を選ばないように、分かりやすい日本語で文章が展開されていて、読者の想像力に依存しない形での、割と具体的な情景、人物の心情描写とか。

    最近は西加奈子さんにどっぷり浸かっているところで、彼女が時折見せる、読者の想像力を試そうとしてるこれ?みたいな描写がたまに辛いな〜と思うことがあったんですが、この話にはそれがほとんどなかったです。

    強いて言えば地下の雰囲気くらいかなぁ、なんとなーく、の感覚で想像しましたが、そこはそんなに重要なシーンじゃなかったので助かりました。

    ## 星4つの理由 (ここからネタバレ含みます)

    星4つにしたのは、私の中で綾辻行人さん1冊目という点、これから他にもいくつか読んでみたい、のでベンチマークとして4つ、という理由になります。

    上述の通り文章は分かりやすいし、600ページ超え作品なのにストーリー展開が上手いからサクサク読めちゃうし、そして骨子となるストーリー自体ももちろん面白かったので、そういう意味では星5でも良かったかもしれません。今後に期待ということで。

    ここからネタバレになりますが、強いて言えばということで、そもそもなんでこんなことになっちゃったの?とか、最後の妻はなんであんなことになっちゃったの?とか、なんかそういうところが物足りないなと思いました。全ての謎が伏線?と言っちゃうと言い過ぎかもしれないですが、それらもきちんと回収されると良かったのかなぁ。別に、夜見北山の神社の祟りじゃ〜!みたいな、かなり古風な話になりますが、そういうのでも良いのかなぁとか。なんでもかんでも回収すれば良い、そこはもう読者の考察にお任せしますよ、という綾辻行人さんからのメッセージだったのかもしれませんね。その辺までしっかり書いちゃうとプラス150ページ、そしたら800ページとかになっちゃうもんね。

    ネットでちょっと調べたら関連ストーリーがあるとのことなので、読んでみたいと思います。