カテゴリー: 読書感想文

  • 7月29日 もっと生きていたいと考える

    7月29日 もっと生きていたいと考える

    健康診断を申し込んだ

    7時30分くらいに起床。今日もつくばに出社。家からオフィスまで1時間かからないって本当にありがたい。電車も混んでないし。

    眼精疲労?なのか分からないけれど、これまた感覚的なことだから言語化するのが難しいんだけれど、普段、耳に、チー、みたいな高周波の音が鳴るのを感じると思うんだけれど、それが、眼球を上いっぱいに上げた瞬間だけめっちゃ増幅される感覚があって。私は体調不良でこれから熱が上がっていきそうな時にそれを良く感じるんだけど、そんな感じで体のどっかに不調を来しているのかな、と焦った。そして会社で年1回受けましょう!っていう健康診断に申し込んだ。今から約2ヶ月後。
    そしてそれをCopilotに話し、今イマの身長、体重、飲酒喫煙習慣などを話したところ、飲酒量を下げることと、適度な運動を勧められた。
    私は鉄は熱いうちに打て派なので、かねてから取り戻したかったランニングの習慣を再開した。とりあえず週3目指そう、って優しいCopilotは勧めてくれたけれど、個人的には、いけるんなら毎日走っても良いのではないかと思っている。
    で、早速今日、終業後に走った。かねてから気になっていたちょこザップの無料体験を申し込んで、7kmくらい走ってきた。心拍140くらい、ペースはキロ7分くらい。ケイデンス164。まずまずかな、って感じ。ラン後は身体的にはへっちゃらって感じだけど、走れるなら外ラン、そして朝だよなぁ。5時くらいに起きて20km走ってた頃が懐かしい。あの頃の自分を取り戻したい。
    そして今夜の飲酒。これは日常のペースにしていきたいんだけれど、今日はハイボール1杯だけ。ウイスキー50mlだけ。これで酔い気分になれるんならちょうど良いかもな。

    飲酒による機会損失

    これ結構デカいと思っていて、小説書いたり、読んだり、ブログ書いたり、刺繍したりっていう、夜、一人で楽しむようなイベントが酒によって妨げられてるのが割と気になっていて。
    私は本来、酒を飲みたかったのかどうかすらよく分からなくなってきてて。それもCopilotに相談したら、多分私は、1日を締めくくるイベント的な感覚で飲酒していたのだろう、と。
    確かにな、と思った。
    1日を締めくくるには別に酒じゃなくなって良いだろう。
    最近は毎日のようにこんな感じで1日を振り返ってブログを書いているけれど、これだって1日の締めくくりを彩るためのイベントとして昇格させても良いだろうに。
    確かにね、酔って気持ち良くなるのは分かるんよ。私はハイボールを3杯くらい飲むと良い感じに酔ってきて、その感覚を楽しんでいたのは間違いようのない事実だけど、それによって蝕まれる健康のことを考えたら、トレードオフじゃないだろ、と。むしろマイナスだろ、と。
    だから、基本、酒はハイボール1杯とか、ビール1本とか、レモンサワー1杯とかで終わりにして、だらだら飲む習慣を絶ってみようと思う。
    分からんよ、意思薄弱と自分でも認めるくらいだから、飲みたくなる日だってあるでしょうよ。だけどそれを毎日のイベントとして掲げるのではなくて、たまにのご褒美で捉えるくらいでちょうど良いのかもしれんね。ご褒美って考えてる時点でまだまだだろ、とも思うけど。

    湊かなえ Nのために 読了した

    奥さんから勧められて読んだ。物語が何層にも重なっていて、ストーリーの構成力とかすごいよな、と思った。私にはこんなのは書けない。ロジックを組み立てるところで私は破綻してしまいそう。うまくできた話だよなぁ、実際の生活にはこんなことは起きないだろう、って点で、私はそこまでグッと来なかった。私は日常を描く話が好きなんだろな。
    考察。贖罪っていうものに登場人物全員が執着していて、それを意識的に感じてる人もいるし、そうじゃない人もいるし、だけどそれぞれが持つ意識のもとに行動していて、それ自体は自分の本心に基づいて動いているんだろうけど、だけど他人の感情や行動に振り回されることもあるもんね。
    心理描写って点ではそこまで深く抉っておらず、だけど多くの読者に対して、最大公約数的なところで描写を止めるあたりはさすがだな、と。読者に委ねるところと、文章で語るところの攻め際って難しいよなぁ。そういうとこすごいわ湊かなえさん。他にも読みたいかと言われると、うーん、なんとも言えない。私は心に火が灯ると図書館で本を借りまくってがっつり読み込むんだけど、そこまでではなかった。心理描写で語るというよりかは、ストーリーテリング、ロジックの妙で読ませるタイプのように感じたから。

  • さよなら、ジャバウォック 伊坂幸太郎 ★★★★☆

    さよなら、ジャバウォック 伊坂幸太郎 ★★★★☆

    マンネリを感じるのはしょうがない、けれど伊坂幸太郎なりの味を確かめるために、もう一度くらい読んでみたい。これぞ伊坂幸太郎だよなと思わせる作品。すごいよね。面白いよね。思いついたことをいろいろ書こうと思う。起承転結などはなし、思いついた順に綴っていこうと思う。

    ジャバウォックというのは不思議の国のアリスに出てくるモンスターで、頭が混乱して何が何だか分からない状態に陥るそうだ。読んでないからわからないけど。

    相変わらずオシャレだなー、と思う。引用する哲学や歴史上の出来事、音楽など、引き合いに出す内容の豊富さに脱帽する。そういう点での知識欲求も満たしてくれるからすごい。
    過去と他人は変えられないというのは私の中での金言になってもいるから、その言葉をここまでフィーチャーしてくれるのは嬉しかった。やっぱそうだよねという気分になった。若干ネタバレになるけれど、その言葉が最後まで引っかかっているような気がして、そしてその言葉が結末の一つを表しているようにも感じた。

    小気味良い会話とかね。歳取ってるのに若々しい女性を描くの好きだよね。モダンタイムスに出てくるオバちゃんのことを思い出したよ。キャラが被るよ。

    先の読めない展開を綺麗に描くのすごいよなぁ。
    張り巡らせた伏線もきちんと回収するし。あの時のあの人がまさか、みたいなのが何度もあった。残り30ページまで、結末が読めない。多分、彼のことだからいい感じに、正義は勝つみたいなエンタメで終わらせるんだろうなと思いつつも、フーガはユーガの時のように双子の片割れがあんなことになってしまって(あの時は悲しかった!)、という結末を描いたこともあるから、もしかしたら今回も?!と半ばドキドキしながら読んだ。
    そして大円団(と言って良いのだろうか)を迎え、いろんなことがネタバレされ、読者の私は安堵したな、みたいな印象を持った。
    だけど正義ってなんなんだろうな、ここ最近の彼の作品には「いろんな面」での正義が描かれることが多いから、彼には彼なりの正義があった訳だし、ただ、それを他人にまで強制するかどうかとか、その辺りの線引きが必要なんだろうな。生きていく上でね。

    人は変われるのだろうかね。
    私の脳が、どこかの研究室のビーカーみたいなやつに電極で繋がれていたとしたら。何度も同じようなことを考えたことがあった。一時、その考えに固執したこともあった、けど、それを考えることの自分は自分自身だというデカルトの説に則って、それを信じることにした。
    思い出を何度も取り出してそれを愛でるのはもしかすると、その時代から飛んできたから記憶が鮮明なのでは、なんてことも考えたことがあったな。ついさっきまでその、思い出した時代に生きていた自分がいて、そこから一瞬で抜け出してきたとかね。証明する術がないから、ただの想像で終わってしまうんだけど。

    星4つにした理由。これは数多の作品を読んでしまったからということもあるのだと思う。私は彼の目新しい部分を少し期待していたけれど、いつもの伊坂幸太郎作品だよね、という点でまとまってしまったという点が、満点を取らなかったということ。あと、若干のファンタジー要素。苦手でして。
    これが最初の伊坂幸太郎です!ここから読みます!という人にとっては、入りやすい作品だと思う。彼らしさが出てるから、これを機に伊坂幸太郎が好きになりましたって人は、違う作品を読んでみることをおすすめする。長編が好きならぜひモダンタイムスへ。ハラハラドキドキしたいのならゴールデンスランバーも良いと思う。同じくらいのボリュームなら前述したフーガはユーガなどかな。

  • ニサッタ、ニサッタ 乃南アサ ★★★★☆

    ニサッタ、ニサッタ 乃南アサ ★★★★☆

    図書館で借りました。
    乃南アサさんという名前は知っていたものの、今まで読んだことが無かったので借りてみたという動機です。
    色んな仕事に手を出すも続かない、ちょっと残念なメンタルの主人公と、ひょんなことから知り合った女性など、個性的なキャラクターで繰り広げられる物語。
    人情系とでも言うべきでしょうか。人と人とが支え合って生きていく、というニュアンスも感じます。
    簡単に言うと「家族の姿」っていうものは、それこそ家族の分だけ違いがありますが、ベースにあるのは信頼することとか、助け合うとか、そういう温かい部分で支えられてるのでしょう。
    人との付き合い方で悩んだり、心がモヤモヤする時に読むと元気が出そうな気がします。

    ニサッタ=明日、という意味

    私を含め多くの人はこのタイトルから、明日という言葉を連想することができません。あえて、アイヌ語にするところもこの小説の大きな鍵になっているのですが、アイヌの人たちが「ニサッタ」と言う時、明日に希望を持って生きていこうぜ、のようなニュアンスを含んでいるように思います。
    開拓民たちと共存することができず、徐々に人口が減っていった先住民たちは、やがて混血という形にはなりますが、彼らの血を薄く引き継いでいく形になっているのでしょう。
    自分たちの民族が、どんどん減っていくというのは、なにもアイヌの人たちだけではなく、人口が減少している今の日本という国に住んでいる私たちにも言えることです。
    けれど私たちは「私たちの民族を絶やさないようにしよう」と常日頃考えているかというと必ずしもそうではなく、一方で日本に住んでる外国人たちがやらかしちゃってるニュースとか見ると、「俺たちの国を汚さないでくれ」と思ってたりとか、自由にいろんなことを考えているなぁと思います。私もその一人ですけれども。

    その他感想など

    小説を読んでレビューを書こう!と言う気持ちになったのは、ストーリーが面白く、きちんとすべてが収束していい感じになったのが気持ちよかったからです。
    直木賞を取る人って物語を構成するのが上手なんだよなぁ。さすがって感じです。
    私も小説を書くことがあるものの、きちんと物語を終わらせることができません。ストーリーが途中で成り立たなくなってしまうのはきっとプロット作りの段階で破綻しているからに違いないのですが、そういうこともなく、その流れに沿ってきちんと書き終えられるのって一つの才能ですよね。乃南アサさんもその一人なんだろうな。そして、違う作品も読んでみたいと思いました。
    今回、図書館で借りたと前述しましたが、この作品を選んだのは完全に「なんとなく」という気持ちからでした。私は短編集よりも長い方が好きなようで、この本は結構厚く、読み応えがありそうで、そういうところに期待を寄せたんだと思います。読んで良かったです。
    ★を5つにしなかったのは、今後に期待したいからです。構成力、書きっぷり、多くの部分で★5つの感じではありました。私はこういう作品に飢えていたのかもしれません。

  • # 星を掬う 町田そのこ ★★★☆☆

    # 星を掬う 町田そのこ ★★★☆☆

    ## 星3つ

    とても重たい話です。私はこの登場人物たちの抱く感情や思考を100%受け入れることは難しくて、きちんと感情移入できませんでした。

    町田そのこさんを読むのは2作目、52ヘルツのクジラたちに続いてこれです。

    どちらの作品も、「家族」っていうものが作る絆とか、愛とか、そういうものをテーマに描かれており、今作もまた、家族というものの在り方を考えさせられるような内容でした。

    星が3つだったのは、ストーリーが私には重すぎたからです。

    それぞれみんなが重たいものを抱えていて、ぶつけ合ったり、労りあったりするんだけど、その起伏が激しくて、正直なところ私は疲れてしまいました。

    町田そのこさんのすごいところは、丁寧さだと思います。ストーリーの展開もまた結構ダイナミックなんですが、それを進めるための登場人物たちが抱く心情をきちんと言語化していて、またそれが伝わりやすく、はっとさせられるシーンが何度もありました。

    辛い思いをした分、報われてほしいと心の底から思いました。

    ページの残りのボリュームから、そろそろフィナーレに向けて浮上していくんだろうなという予想を大きく裏切るような展開に、歯がゆい思いをしました。だけどそれでも、読みたくなってしまうのは、町田そのこさんの描く物語が魅力的だったからだと思います。

    ## 家族って

    私は恵まれています。たぶん。

    生まれ育った家族も、私が築いてきた家族も、みんないい人ばかりで、家族っていう軸で困ったことってそんなになかったように感じます。だから恵まれているんだと。

    100%そうとは断言できないこともあって、おそらく私は忘れてしまっている記憶の中に、いい人、という文脈から離れているようなエピソードだってあると思いますが、それでも、総括して「みんないい人」と感じることは、きっと幸せなことなんだと思います。

    家族って人間が生きていくためには必要で、子どもは成長していかなきゃいけないし、親は守ってあげなければいけません。

    この本を通して、家族の在り方とか、子どもに対して同接していけばいいのかとか、問題を抱えた時にどう対峙していけばいいのかとか、そんなことを常に考えたような気がします。

    みんな幸せに、健やかな家族ばっかりで、みんな素直に生きていけたらいいんだけど、そうはいかないもんな。

    私の中の常識を決して押し付けることなく、広い視野で見守っていきたいです。

  • # 52ヘルツのクジラたち 町田そのこ ★★★★☆

    # 52ヘルツのクジラたち 町田そのこ ★★★★☆

    ## 星4つ

    主人公は幸せな家族に恵まれず、感情移入してしまうとこっちまで気持ちが落ち込むような境遇。

    私は、この先、幸せな結末が待っているに違いないと信じながら読み続けました。

    どんどん先を知りたくなるような展開で、つまり私の想像をはるかに超えたストーリー展開が常に用意されていて、あっという間に読んでしまいました。

    このあたりが、星4つの理由です。5つにしなかったのは、物語が短かったなぁ、というのと、主人公寄りの、主人公を助けてあげたくなっちゃうってなってる人が多くて、そこがちょっと現実とはかけ離れてるかなぁ、という点です。私、きっと現実路線の話が好きなんだと思います。

    物語自体は、人との繋がりの部分が大きくフォーカスされていて、それがタイトルにも絡むのですが、この、「声にならない声」を放ってる人ってこの小説の中だけじゃないよなぁ、私だって、その、「声にならない声」を放っているけれど、それが誰にも届かないときってあるもんな。

    それって、つまり、孤独ってヤツなんですかね。

    ## 魂の番人

    文中に出てくる言葉で一番印象に残った言葉です。私は、「生きる」という意味を実感し、その意味の重たさを共有できる相手、と解釈しました。

    生きるという言葉、あまりにもよく使われるし、その言葉が本当に持つ意味の重たさと比較するとあまりにも軽いですよね。

    生き物って本来はシンプルで、生まれ、生き、そして死ぬという一直線上のレールを歩くだけで、その3つってそれぞれ強くて重たい意味を持っています。

    それぞれが同じくらい重たいものでしょう。

    だけど生まれるのと死ぬのは一瞬で過ぎ去るのにくらべ、生きるだけがとても長いです。

    ## キャラ立ちの良さ

    町田そのこさんの作品を読むのは初めてです。

    独特の空気感を纏いながら物語を綴る中で、その物語を進めていく役者たち、登場人物の個性がきちんと、ぱりっとしていて、とても良かったです。

    こういう友達がいたら人生が変わっていたかも、と思ったり。

    だいぶお節介な、世話を焼くのが好きな人が良くもまぁこんなに集まったもんだ、と逆に感心しました。それぞれみんな、物語を構成するのに必要な人たちばかりで、欠けていたら物語として成立しなかったでしょう。

    一部を除き(主人公にキツく当たる人たちは除く)、みんないい人たちばかりで、冒頭の感想で現実からちょっとかけ離れてません?って書いちゃってますが、理想的な社会生活は、こんな感じで助け合って生きていこうとするものなのかもしれませんね。

  • # 十角館の殺人 綾辻行人 ★★★★☆

    # 十角館の殺人 綾辻行人 ★★★★☆

    読み終えた後、しばらく呆然としてしまいました。

    あまりにも鮮やかなトリック、そして緻密に計算されたストーリー展開に、ただただ圧倒されるばかり。

    若くしてこれほどの作品を書き上げた才能に、嫉妬すら覚えます。

    ## ミステリ小説の魅力とは何か?

    普段、私は小説を読む際、物語の面白さはもちろんのこと、作者の文体や情景描写など、文学的な要素を重視する傾向があります。しかし、今回の『十角館の殺人』は、そのような私の価値観を大きく揺さぶる作品でした。

    ミステリ小説の醍醐味は、やはりその巧妙なストーリーにあると感じます。読者の想像を遥かに超える殺人方法、そして犯行に至る動機の形成過程。それらが緻密に組み合わさることで、読者は物語に深く引き込まれます。

    そして、トリックが暴かれる瞬間の犯人の心情描写。そこに共感できる部分があれば、読者は大きなカタルシスを得られるのではないでしょうか。私も、真相が明らかになる瞬間の高揚感を存分に味わいました。それは、まるでパズルのピースがカチリとハマったときのような、なんとも言えない快感です。

    ## 叙述トリックの衝撃(ネタバレ注意!)

    本作の最大の魅力である叙述トリックには、見事に騙されました。十角館が燃え、6人の焼死体が発見されたという報道。その時、私は登場人物の名前をメモしながら読んでいたので、ヴァンがいないことにすぐに気づきました。しかし、ヴァン=守須という事実に全く気づけなかったのです。

    中村青司が生きていると思わせるミスリード。その巧妙さに、まんまと騙されました。「まさかそんな…」と思いつつも、物語に引き込まれていく感覚。これこそが、ミステリ小説を読む醍醐味だと改めて感じました。

    登場人物たちの名前、そしてそれぞれの関係性を整理しながら読み進めていくことで、物語の面白さは倍増します。私も、登場人物たちの名前をメモしながら読み進めていくことで、より深く物語の世界に入り込むことができました。

    また、十角館という閉鎖された空間で起こる連続殺人という設定も、読者の好奇心を掻き立てます。外界から遮断された孤島で、登場人物たちが疑心暗鬼になっていく様子は、まるでホラー映画を見ているかのようです。

    ## ミステリ小説の奥深さに魅了される

    『十角館の殺人』は、単なる謎解き小説ではありません。登場人物たちの心理描写、そして物語の背景にある人間ドラマも、この作品の大きな魅力です。

    特に、犯人の過去、そして犯行に至るまでの経緯が明らかになる場面は、読者の心を強く揺さぶります。そこには、単なる猟奇的な殺人ではなく、人間の心の闇、そして悲しみが描かれているのです。

    この作品を通して、私はミステリ小説の奥深さを改めて知ることができました。謎解きの面白さ、そして人間ドラマの奥深さ。その両方を兼ね備えた『十角館の殺人』は、まさにミステリ小説の金字塔と言えるでしょう。

    ミステリファンはもちろん、普段ミステリを読まない方にもおすすめしたい一冊です。ぜひ、あなたもこの作品を通して、ミステリ小説の奥深さを体験してみてください。

  • 地下の鳩 西加奈子 ★★★☆☆

    地下の鳩 西加奈子 ★★★☆☆

    繁華街。キャバレーの呼び込みを生業としている男と、その近くの店で働くチーママの、淡いけど深い恋愛物語。
    これを恋愛と呼んでいいのか分かりません。恋愛なんて、200人いたら100通りの恋愛があるわけで。

    たまに旅行とかでいつもと違う、知らない風景に佇む家を見ると、あぁ私にも知らない世界があって、そこで生活を営む人がいるんだなぁと感慨深い思いを抱いたりしますが、それは旅行だけではなく、たまーに、繁華街でオトナなお店へ呼び込もうとする人たちもまた、私の知らない世界で住む人間なんですよね。
    今回、主人公となった人たちもまさにその中に住む人間たちで、小説ってそういう人たちの生き様や考え方を知ることができ、良いものだなぁと思います。

    吉田とみさを

    男を吉田。女をみさをと言います。
    みさをが起こした小さなトラブルに巻き込まれる形で、知り合い、そこから少しずつ交流を深めていくところ。
    吉田は比較的、プライドを持って生きている人間。西加奈子さんが何度か書いている通り「俺はこんなところで燻ってる人間じゃない」という思いを抱きながら、だけど今の生活から抜け出せない、いや抜け出さない姿勢が垣間見えます。
    男ってなんでこうなんでしょうね。
    私も同じようなところがあって、毅然として、誠実でなければいけないなんて思っている節があります。
    だけどそれって誰かから強制されたワケではなく、あくまでも自分の意思でそうしていようと思っているような。
    みさをはそんなところを見抜いていて、だけどそれを揚げ足を取るような、プライドを切り裂くようなことはせず、優しい姿勢で接していました。
    駆け引きと言ってしまうと稚拙な表現になってしまいますが、一方、みさをの方も、今まで知り合ってきた男たちと同じような付き合い方をするのかと思いきや、今までの男たちとは一線を画す立ち振る舞いをする吉田に対し、困惑する箇所もあったりして。
    ボタンを掛け違えたかのような生活が続き、お互いがお互いに依存し始めた頃に、吉田の懐が枯渇し、2人の関係性が変わってくるところの描写が面白かったです。

    「もう、金がない。」
    吉田は、そう言って、ぽろりと、涙を流した。
    不意をつかれた。
    みさをは、吉田を抱き寄せた。有紀子の絵を、昨日のチーフの姿を思い出し、不安だった。早く楽になりたくて、吉田の耳を舐めると、吉田は嗚咽しながら、みさをの服を脱がせた。
    地下の鳩 105ページ

    お互いに不器用なところがあって、とても愛おしい。
    恋愛に器用も不器用もなくて、それぞれ全力で恋愛に取り組んでいるはずで、吉田が、虚勢を張っているはずの吉田が、金がないと発言し、それは自分のプライドを捨てて、泣きながら、みさをに縋り付く男を見て、哀れに思ったのでしょう。一方みさをは病弱な妹や、キャバレーというキレイな場所で働く地味な女、チーフという別の境遇で暮らす2人を思いながら不安を抱えていたところだったので、吉田の泣き崩れる姿は、より一層哀れに思えたのかな、と思います。
    ↑と、書いていて感じましたが、私はイマイチきちんと理解していないかもしれません。
    男は、プライドを捨てる時、泣くのでしょうか。
    私は映画以外では久しく泣いたことがないから思いつかないです。が、映画を観て泣くのを、家族に見られるのはちょっと恥ずかしいです。
    感情が昂っています、というサインを受け取られることが恥ずかしいのでしょうか。
    引用したちょっと前に、みさをの家に泊まった時に使った灰皿が、誰のかと気にする吉田。みさをの全てを手に入れたいと考えているため、嫉妬してしまう吉田。
    そんな吉田に、少なからず共感を得てしまうのは、私も男で、吉田と似たようなところがあるからかもしれません。
    男の独占欲って人によってまちまちでしょうけど、これだけは手に入れたい!と思うようなものがあったら、他の人が手に入れようとするのを必死で排除してしまうのでしょう。可哀想な生き物です(褒めてます)。

    ミミィのこと

    この本は短編が2作入っていて、緩やかに連なっている作品なのですが、私の中では後半に訪れる「タイムカプセル」という作品の方が強く印象に残りました。
    のっそりしたオネエのミミィさん、イメージが完全にテレビで人気者のデラックスさんで脳内再生されましたが、壮絶ないじめを描くシーンは読んでいて辛かったです。
    地下の鳩、タイムカプセル、それぞれ、割とドヨーンとした空気に包まれている作品ですが、この、いじめのところの下降曲線っぷりがすごかった。
    報われてほしいなぁと思いつつ、ミミィさんのことを好きになりました。

    星3つ

    3つか4つか迷いました。心情描写が良かった、ストーリー展開が面白かった、場面展開がイマイチ良くわからなかった(多分これは私の想像力不足)、ってところでしょうか。
    西加奈子さんは私の中ではサラバ!と夜が明けるが特に素晴らしくて、それぞれ、良かったのは友情を描いていたところなのかなと思ったり。西加奈子さんの恋愛もの、初めて読みましたが、恋愛ってパッと見、キラキラ、ドキドキすることが多く、だいたいそれは若者たちの恋愛にて描かれることが多いように思いますが、そうではない、一線を画すような恋愛もので、綺麗なだけじゃないんだよなぁーと思ったり。
    新しい世界を見ることができて良かったです。

  • # 読書感想文を上手に書くには(いまだ練習中の立場で書いてみる)

    # 読書感想文を上手に書くには(いまだ練習中の立場で書いてみる)

    ここのところ本を読んだらそれをアウトプットしようと思って、いくつかブログに載せているのですが、自分の気持ちを正確に捉え、それを言葉で表すことの難しさを感じます。

    思いの丈を!ぶつけたいのに!という思いを持ちつつも、それを正確に述べることの難しさ。たくさん読んで、たくさん書いていくうちにだんだん上手くなっていくのでしょうけど、コンスタントに読む+書くという作業を続けるのはなかなかしんどいものです。

    # まず、心に残った部分をピックアップしてみる

    最近、私が感じているのは、心に残った箇所を付箋やメモなどで残しておいて、読み終わってからそこを引用してみるということ。心に残ったのは、なぜ残ったのか、という点を突き詰めるにあたり、まず自分の手でその文章を書いてみること。そうすると、ゆっくりと頭に浸透していくのが分かります。大切なのは、それを何も考えずに書くのではなく、自分の頭で考えながら書くということです。ただ引用するのではなく、自分の言葉で吐き出す必要があるので、いったん自分の頭に取り入れて、自分がどんな反応をしたのか。それをおろそかにせず、反応も丁寧に、引用した文章とともに書き出しておきます。これが、読書感想文を書くためのタネになります。

    # タネに水をやり、葉を広げていく

    タネは、そのままでは芽を出しません。水をあげたり、日に当てたりする必要があります。それと同じように、本を読んで受けた反応を丁寧に紐解いていき、自分はなぜそんな気持ちになったのかを考えてみます。

    例えば、走れメロスの、最初の方の文章。

    メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。
    太宰治 走れメロス

    私はまず、ここを読んで、メロスは正義感の強い男なんだなと思いました。ただ、メロスは政治が分からないと言っているのに、それでも邪智暴虐の王を除かなければならぬ、と決意したという点、具体的なやり方も思いつかないのに、「取り除かねば!」と思っているところで、一体どうやってそんなことをやるんだろう、と疑問に思いました。

    疑問に思った理由は、例えば私がメロスの立場だったら、邪智暴虐の王に会ったら殺されてしまうかもしれない、と思いました。ので、取り除きたい!と思うものの、自分の命が大切だから、尻込みしてしまってそんなことできません、ってなってしまいそうです。

    だから、メロスの態度には感心しました。自分の命のことなんて何も考えずに、自分の怒りをバネにして、邪智暴虐の王を取り除きに行こうと決心したからです。村にはかわいい妹がいて、彼女と二人でのんびり暮らしている、その生活に終止符を打ってしまうかもしれないのに。

    メロスは正義感が強く、後先を考えない性格で、悪く言うと自分勝手に生きてきた人なのかな、私とは違う性格をしているな、だけどどっちがいいとは言えないです。私は引っ込み思案で、メロスまでではない程度に正義感を持っているものの、今の自分の生活を終わりにしてでも正義を優先すべきかと言うと、一瞬では考えられない、むしろ諦めて、邪智暴虐の王に従ってしまうだろうと思いました。

    と、こんな風に、タネに水をあげて、丁寧に広げていくのです。

    # 読書感想文の文量が足りなくて困る場合

    一般的に、読書感想文が嫌いな人は、「何も感想が浮かばない」のと、「いくつか感想は思いついたんだけど、それだけじゃ必要な量に足りない」という2点がありそうです。

    私も子供の頃は読書感想文が苦手でした。というか今でもそんなに得意ではないです。

    で、その両方の対策として、上述した、自分の心が響いた部分をたくさん増やすことが挙げられます。

    「読書」した「感想」を「文」にするんです。

    感想というのは、自分の反応なんです。自分が、本を読んで受けた反応、それこそが感想のタネになるのです。

    だから、必要な量に足りない!と焦るのではなく、自分が反応した箇所を増やすこと、これが文量を増やす対策になります。

    # 自分の言葉で語ることが難しい場合

    これは私が今取り組んでいることでもあり、まだ発展途上の部分でもあるのですが、、

    例えば、「エモい」とか「すごい」とか、とりあえず自分の頭の中の引き出しには言葉が見つからないんだけど、自分の心が反応した!という部分に、まずそういうとっつきやすい言葉でタグ付けをします。

    そうすると、考えるきっかけになります。

    – 自分はなぜ、エモいと感じたのか

    – そのエモさは、どういうエモさなのか

    という感じに分解していきます。

    この作業は非常に辛いです。なぜなら、自分の頭の中に引き出しがないからです。ここで、適切な言葉を生み出すことによって、次、同じような感想を抱いた時、引き出しとして使うことができます。

    # 語彙力という、見えないけど強力な力

    https://www.shinga-farm.com/study/communicative%E2%80%90power/

    齋藤孝さんあたりはその、語彙力に着目して、本を出したりしていますね。

    すごい。さすがです。

    ↑今、私が「すごい」と感じたのはなぜか。そういうところでも自分の勉強になります。

    すごいと感じたのは、多くの人が「大切だな」と感じるけれど、重要かと言うとそこまででもない感じの物事、例えば語彙力はあったら嬉しいけど、なくても別に生きていけることです。本をまったく読まない人にとっては、語彙力なんて言わばどうでも良いことの一つかもしれません。

    語彙力があると、生活に鮮やかな色をつけることができます。例えば、冬の澄んだ青空を見た時。「キレイだ!」と思うことは多々ありますが、それがどのような「キレイさ」なのかを分解することができます。透き通る青を見てて気持ち良い、だとか、うっすらと霞む雲と描く、色のコントラストが美しい、美しいのはどう美しいのか。などと分解していくことで、より深い言葉で、そして自分の言葉で、表現することができるのです。

  • 三島由紀夫 潮騒 ★★★★☆

    三島由紀夫 潮騒 ★★★★☆

    青年があの航海を経て見た景色は、以前は遠いものだったんだけど、やがてそれが手の届く距離に近づいたんだねぇ、としんみりしてしまいました。
    彼は、自分が成長していく様を自分で理解しつつ、周りにいる人たちとの関係が、最初は小間使いだったような立場から、自分が経験を積むことでだんだん一人前に認められていくという点を、この三島由紀夫という作家は丁寧に、瑞々しく描いていて、さすが、後世に語り継がれる名作を描くだけあるな、と思いました。

    三島由紀夫の作品は、これが初めてでした。当時の時代背景とか何も知らず、これが彼の前期なのか後期なのかみたいなもの、というのも知らないままに、ネットでオススメに入っていたからという理由で借りたのですが、読んで良かったー!という読後感がありました。
    ストーリーの展開が、この先どうなっていくの?!というエンタメ感はありつつも、海の美しさ、十代の若者たちが胸に抱く思惑など、少ない文量ながらも丁寧に描かれているなと感じました。

    新治は急いていた。千代子はそれを知っていたから、彼よりももっと急いた。言葉は出ず、あの告白はまして出なかった。新治が自分の目の前に一秒でも永く居てくれるようにと祈りながら、彼女は目をつぶった。すると彼の寛恕をねがった気持ちが、実は彼のやさしさに触れたいと思う久しい希望の、仮面をかぶったものにすぎないことが分かるのだった。
    三島由紀夫 潮騒 第79刷 P99

    これは、千代子が新治に恋い焦がれる状況で、新治と別の女性との恋仲を打ち砕くようなことをしてしまった後に、新治のもとへ訪れ、そのことを寛恕してもらいたい(もういいよ、みたいな許しを得たい)つもりで訪れたわけです。しかし新治は仕事に入っていて忙しくて、十分に千代子のことをかまっていられない状況で、だけど千代子としては大好きな新治を眼の前にしているから、その中でのドキドキ感とか、そういういろんな思いが込められているな、と思いました。
    結局新治はこの後、千代子に優しい言葉をかけて、この場面は終わるのですが、新治の優しさとか、言葉少なで語る男らしさ、個性みたいなのが前面に出てくるような、素晴らしい場面でした。

    そうだ、三島由紀夫の凄さとして、場面の臨場感の勢いがすごいと思いました。物語は島での生活と、船上での生活(というか仕事)、大きく2つの場面で描かれるのですが、穏やかで美しい、島の自然や、その島で暮らす人々の生き生きとしたやり取り、一方、嵐の中、荒れ狂う波を進む船の状況など、文章でその風景を描くには実際に見に行かないと描けないのではないかと思うのですが、三島由紀夫はまるでそこにいたかのように、具体的な描写で文章が描かれていて、はー!すごい!と思ってしまいました。

    そして、経験とともに成長していく若者の心情もまた、具体的で分かりやすい平易な言葉を用いて描かれていて、とはいえ現代風に言うとエモさも十分に含まれていて、あぁ、私の才能では私が抱いた思いを正確に書き綴ることが出来ない、、悔しい。

    夕方沖を走る白い貨物船の影が、ずっと以前に見たときとは別種のものであったが、また新たな感動を新治に与えた。
    「俺はあの船を知っている。船の生活も、その艱難も、みんな知っているんだ」
    と新治は思った。少なくともその白い船は、未知の影を失った。しかし未知よりももっと心をそそるものが、晩夏の夕方、永く煙を引いて遠ざかる白い貨物船の形にはあった。

    かつては遠くに眺めたあの「未知」に、たしかに一度、新治はその堅固な掌で触ったのである。彼は沖の白い船に自分は触ることもできると感じた。
    三島由紀夫 潮騒 第79刷 P141

    新治が一度、遠くの海に仕事で連れてってもらい、島の外を見た後に感じるシーンです。十代の青年が、経験を経て一回り大きくなったことを実感したところを精緻に描いていて、こんな書き方ができる三島由紀夫はカッコいいですね。それは自分がかつて同じように、自分が経験によって成長したことを実感するシーンがあり、それと新治の成長を重ね合わせたのかもしれません。
    もっと私に文才があれば、、、くっそ。。

    ★4つにしたのは、これからもっと三島由紀夫を読んでいこうと思っていて、その基準にしたかったからです。これを5にしてしまうと、後に辛くなってしまうことがあるかもな、という自分の浅ましい気持ちが発端になっています。

  • 三島由紀夫に出会いました

    三島由紀夫に出会いました

    さて、図書館で次はどんな人の小説を借りようかなと思い、ぼんやりとインターネットを見ていたところ、三島由紀夫の文体がものすごく美しいという投稿を見つけまして。

    私の中で彼のイメージは、なんか白いハチマキを頭に巻いて、それで防衛庁(現・防衛省)の前で切腹して自殺したとか、それすらも曖昧ですがなんかそんなイメージを持っていて、私も、まぁそう考えてみたら右寄りな人間なので彼の思想に合致するかもしれないと思い、図書館で検索してみました。

    意外にも、と言ったら失礼ですが、没後何年も経っている人なのに、まだ借りたい人がいるようで、いくつかの人気作は予約待ちという状態でした。私の中で「今すぐ読みたい!」という熱が高まっていたので、その中から、「潮騒」という本を借りました。

    まだ、半分くらいしか読んではいないのですが、ざっくり言うと海辺の田舎町での青年が過ごす日々、とでも申しましょうか、その中での葛藤や、淡い恋心みたいなものが綴られいて、遠い日の自分と重ね合わせるシーンがいくつかありました。

    瑞々しい描写

    まだ一作しか読んでいないので、三島由紀夫の凄さは分からないのですが、ざっくり70ページくらい読んだところで、風景の描写とか、青年や女性が抱く思い、みたいなものを、まるで本人が思いを綴っているかのような書きっぷり。はぁ、こういうところに作者の思いが込められているんだろうなと思うばかりです。

    ストーリーの展開も面白いものではあるのですが、それ以上に、途中途中で描かれる上述のような描写のインパクトが強くて、ストーリー以上にそれのほうが強くて、半ばストーリーを忘れてしまうようでした。多分私の頭が追いついていないんだと思います。

    いや、きっと三島由紀夫の凄さは、そういう瑞々しさだけではなく、ストーリー展開にもその個性が描かれているんだと思います。そういう意味で、私はおそらく、一度読んだだけだと足りなくて、何周も読むことで、彼が描きたかったことをようやく吸い取れるような気がします。

    まだまだ足りないな、まだ一作目だもんな。

    もうちょっと深く潜ってみたいと思います。