5月16日 振り返らず 錆びた風は 続くだろう

狂い咲く坂道 笑い出す口笛
どこからか聞こえては 埋め尽くす
色干からびた空を 焼き付ける

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT / ダニー・ゴー

そのバンドに出会ったのは、私が大学生の頃だったような。
バードメンという歌で、彼らを知り、一瞬で好きになった。
全員、モッズを彷彿とさせるような細身のスーツ姿。
ギターを「かき鳴らす」という言葉がピッタリの、ギャンギャンしたバンドサウンド。
ガレージロック。学生時代、カラオケで何度も歌った。
その中でもダニー・ゴーという歌が、彼らの放った作品の中で、一番好きだ。
錆びた風。乾いた口笛。
イントロの、うねるようなベースライン。鳥肌が立つ。
サビへの流れるようなメロディーライン。ギターソロ。
調子良い8ビート。
まるでアメリカの、乾いた地域を真っ直ぐ走っている国道を、古臭い車で爆走しているかのよう。
私はいつの間にか彼らの音楽から離れてしまったけれど、その間に彼らは解散し、メンバーの一人は死別し、そしてフロントマンの彼は今、ガンと戦っている。
彼らの残したものは偉大だ。ただのファンが放つ言葉なんて薄っぺらいだけだから、私がここで大声を出して彼らのことを叫んだとしても、誰の目にも、耳にも届かないだろうけれど、私は彼らからそんな景色を受け取った。
彼らが今、どんな景色を見ているか分からないけれど、彼らの目にも、脳裏にも、そんな、アメリカの、乾いた地域を爆走する景色が浮かんでいると良いなと思う。