恋は、自分で勝手に作り上げたイメージから始まる。
あの人の表情が好き、だからもっと見ていたい。
優しくされた。もしかしたら好きなのかも。
これらは全部、妄想。
しかもその思いの先にあるもの、恋のゴールが「好きな相手と結ばれること」だとすると、自分一人では到達することができないのは明らかだ。
相手の気持ちも、同じ方向に向かわなくてはいけないのだから。
それなのになぜ、恋をしたがるのだろう。
人間の本能だから。
そんな理屈じゃ、納得できない。
そんなの、義務教育で習っている。
きっと恋は、嬉しいからだ。悲しいからだ。
成就すると、きっと嬉しい。生きてて良かったという気持ちになる。
失敗すると、きっと悲しい。生きてる価値なんてないという気持ちになる。
成就でも失敗でも、その瞬間を越えてしばらく経つと、あれは一つの経験になったな、という気持ちにだってなるのだ。
つまり、満足するのだろう。
良くたって悪くたって、自分が満足することになる、はず。
けどね、わかる、失敗、怖いよね。
あの人、自分のことを好きになってくれるか、分からない。
50%の確率とか、そういうのすらも、分からない。
なぜかと言うと、思い込みだから。
相手の気持ちをある程度推し量ることはできても、確かめるには、恋のゴールに向けて進めるしかないのだ。
確かめたいから、みんな、恋をしていくのだろうか。
小さな一歩だけど、それは、やがて、ゴールに向けた大きな一歩になるのだろう。
小さな一歩、ものすごく怖いけど。