<このブログにはネタバレを含んでいます。ご自身の責任においてご覧ください>
何年かぶりの星5つです。
この前に取ったのはなんだったか。三浦しをんさんのまほろ系だったかもしれません。
Kindle Unlimitedで読みました。
面白くて通勤中に一気読みしてしまいました。
この物語は、16歳の男子が、先輩から頼まれて先輩の子供、1歳10ヶ月の子供をベビーシッティングするという、割と突拍子のない物語です。
私は2人の子供を育ててきた経験があるから、主人公にめちゃくちゃ感情移入してしまって、彼の一挙手一投足にハラハラドキドキしてしまいました。
最初はどちらかというと不良の男子だったんだよね。
それが、子供と触れ合っていくことで自分が本当にやりたかったことみたいな、自分の感情をきちんと拾っていく過程がとても緻密に描かれていて、とても良かったです。
最後の頃に、彼女はきっと俺のことなんて忘れてしまうだろう、っていう箇所がありました。
確かにね。1歳10ヶ月の頃の記憶なんてあっという間に消え去ってしまうだろうから、確かにその通りなのかもしれないけれど、主人公がもたらした料理の楽しさや、公園での遊び方、何かに直向きになる姿といったあたりを見せてあげることができたのは、大きな功績なんだと思います。
それにはまず、子供を大切に扱う、極端にいうと愛してあげるみたいなことが必要で、それを持っていた彼に先輩が託した気持ちっていうのは、おそらく、メロスとセリヌンティウスのような間柄だったのかもしれません。
しかし瀬尾まいこさんってすげーな。
先日のレビューでは星4つでした。それまでは、なんというか大きな物語の展開が少なくて、日常を丁寧に綴るところに物足りなさを感じていたんだと思います。
だけどさ、話って、別に強弱をつければいいってもんじゃないですよね。
それを表現してくれたところに、もう脱帽というか脱いだ帽子をプレゼントしたくなるような気分になります。
惜しむらくは、私の子供達の、1歳10ヶ月の頃の記憶を、私が思い出せなかったこと。
うちは男の子なので、性別的に合ってないから物語の中のような行動や仕草をしていなかったかもしれません。
だけど、きっと、同じようなシチュエーションはあったはずで、そういうところを私がきちんと覚えていなかったところが、とても残念でした。
全部の記憶を持ったまま生きていければいいんだけどなぁ。
そんなん難しいですもんね。