伊坂幸太郎のフーガはユーガを読みながら、久しぶりに通勤した。
以下、ネタバレを含みます。読みに来る人はあんまいないと思うのですが、もしここに辿り着いた人がいたら、且つまだ読んでなくて、これから読もうと思ってるのよね、という方は読まない方が良いかもしれません。
先日、どっかの日記で、「伊坂幸太郎はエグい描写がないから好き」と書いたけど、この作品は割とエグみの強い話だったなぁと思う。今まで普通の人が死んじゃう的な扱いってあったっけか(殺し屋に殺される、悪い奴は除く)
表紙に飾られているイラスト?のような、深い青色が物語を通してずーっと続くような感覚があったなぁ。主人公の生い立ち、家族構成が物語に暗い影を落としていて、幼いうちから身体を痛めつけられるのって、辛かったんだろうなぁと思ってしまい、その共感力のせいでしばらく読み進められなかった。
途中でちょっと出てきた、小学生の女の子も然り。水槽の話も然り。小玉って漢字を見るだけでいろいろな痛みを想像してしまう。
理不尽な痛み方をするのって本当に辛くなってくる。けど伊坂幸太郎のことだから、最後に明るくなってくるんだろうな、と言うのを信じ続け、最後まで読み切った感じ。
残念ながら全ての人がハッピーに、とはならなかったけど、それでもまだちょっとは救われたかなという気分になったよ。
共感力が強いっていうのも、なかなか考えものだよねぇ。
そのせいで、人の痛みがわかったり、あとは空気を読んでみんなが気持ちよくなれる方向に動こうとしたりするけれど、そのせいで自分が後になって疲れてしまったりするからさ。
人の痛みまで背負う必要はないんだよな。そのせいで、自分の背中が重たくなっていることに気づかなかったりするからさ。
助けを求める人がいる。彼らは、こちらが手を差し伸べるのを待っていたりする。けど全員に対して応えられるわけないから、自分の器をきちんと踏まえた上で、可能な限り助けてあげられたら良いかなと思ったり。