8月8日 読書感想文 ライ麦畑でつかまえて

久しぶりの読書感想文になります。
野崎孝のほう。

会社の同僚に勧められたからです。いいから読め、と。
早速図書館で借りてきまして、早速読んでみました。

一言で表すと、ガラスの十代だなぁと思いました。
学校を退学になり、実家に戻るまでのロードムービー的なストーリーで、自分の思い通りにならないことばかりで、人生ってつまんないよなぁ、と全般的に考え続けてる主人公の姿が、まざまざと浮かびまくってました。
本人の語り口でずっと、最初から最後まで語られるのが良いですね。
彼の姿が、より一層クリアに見えたような気がします。殴られた時には自分も痛くなるほどに。
ひとつひとつ、思いが残るシーンはあるのですが、私の中で一番心に残ったのは、アントリーニ先生との対話です。最後の方に出てくるところ。
アントリーニ先生というのは主人公のホールデンが好きだった、かつての先生で、退学になった後にその先生の家を訪れ、近況を話したりするのですが、その中で、先生は主人公に対して「堕落していく姿が見える、それは取り返しのつかないことになってしまうから、できる限りそうならないように心がけよ」(だいぶ端折ってます)とアドバイスをします。
これってまさに、冒頭から私の考えたことだったので、とても印象に残りました。
成績が優れず、退学となってしまった。しかもそれは自分が頑張って勉強をしないから、という、いわば自業自得の結果ということで、ホールデン自身にとってみるとぐうの音も出ないほどの気分だったことでしょう。
そこから、友人と喧嘩して殴られたり、自暴自棄になってお酒やタバコをたくさん取り入れてみたり、かつての友人(女子)に変なことを言っちゃって嫌われたり、まぁなんというか、たった数日間ではあるけれど”いやなこと”の詰め合わせといった感じで、本当に堕落が始まった瞬間だよなぁと感じていました。
私も大学時代に遊び呆けてしまって悲惨な成績を取ったことがあったので、耳の痛いシーンが多かったです。あの頃、成績が親に届き、辛い会話をしたりとか。
そんな感じに、自分のイケてない時代を主人公に照らし合わせてあの頃を思い出すような、そういう形でこの本を通して思い出に触れ合うことができたなぁ、と思いました。

読書って、そういうことなのかもしれないなぁ。
物語で綴られるストーリーが触媒になり、自分の経験が、ほとんど忘れていた経験をふっと思い出す、みたいな。
たぶん、この本を読む人はみんな、そんな感じに自分の経験と照らし合わせているのかもしれないなぁ。