読書感想文 | 星の子 | 今村夏子 | ★★★☆☆

<ネタバレを含みます>

Kindle Unlimited で読みました。以前図書館で借りたことがあったので、読むのは二度目です。

昨今、宗教の二世問題、お金をたくさん献金する、みたいな問題が取り沙汰されていますが、本人たちが信仰心を持って、自分の思い、信念に従って行動を起こすということに、よほどの事がない限りは外野が止める権利がないように思います。

この中で描かれているのは、イメージ的にはカルト宗教チックなものに入っている家族。
主人公はその子供。やってることは怪しい感じがするのですが、お金をたくさん献金して家や土地がなくなってしまいました、みたいな事がないので、悲惨な感覚はありません。
だからか、終始朗らかな描きっぷりです。
頭にタオルを乗せて、良い感じの水をチョロチョロとかける、というアイデアがまさにカルト宗教っぽく、良い感じの温度感だと思いました。

今村夏子さんの作品、他のは読んだ事がないのですが、細かいところの描き方が具体的で、読者に委ねるところが少な目なテイストですね。
別の作者さんが、「容姿について一切書かず、読者に委ねる」と言っていましたがそれとは対称的で、例えば髪を留める髪飾りの具体的なところとか、とても丁寧に描かれていたのが印象的です。

あくまで個人的な感想ですが、物語が淡々と固られていて、ある女の子の青春物語、という風合いもあるように感じました。映画にもなったので多くの人が読んでいるのだろうと思います。
宗教にハマっている家族の話、という見方が多数なのでしょうけど、学校での出来事も丁寧に語られていて、ちょっとほろ苦い経験があったりするので、青春っていろいろあるよね、な見方もありかなと思いました。

で、冒頭に書いた、宗教の二世問題が頭にこびりついていながら読み進めました。
途中、親戚のおじさんが、両親から離すようなことを提案したり、学校の先生も同様のことを発言したりしてますが、当の本人はその宗教活動を気に入っている節があり、だからこそ、信仰心の自由を闇雲に侵害するのはいかがなものだろうか、という考えに至りました。

私自身は特段信じているものはなく、強いて言えばご先祖様くらいなものですが、生きていると何かに縋りたくなる時ってありますよね。
そういう時に「宗教」という選択肢が頭に浮かぶかというと疑問ですが、近くにそういう人、何かに強い信仰心を持っている人がいて、私に勧めてきたとしたら、時と場合により靡いてしまう場合があるかもしれないなー、と思いました。
いや、ないか。

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