さて、図書館で次はどんな人の小説を借りようかなと思い、ぼんやりとインターネットを見ていたところ、三島由紀夫の文体がものすごく美しいという投稿を見つけまして。
私の中で彼のイメージは、なんか白いハチマキを頭に巻いて、それで防衛庁(現・防衛省)の前で切腹して自殺したとか、それすらも曖昧ですがなんかそんなイメージを持っていて、私も、まぁそう考えてみたら右寄りな人間なので彼の思想に合致するかもしれないと思い、図書館で検索してみました。
意外にも、と言ったら失礼ですが、没後何年も経っている人なのに、まだ借りたい人がいるようで、いくつかの人気作は予約待ちという状態でした。私の中で「今すぐ読みたい!」という熱が高まっていたので、その中から、「潮騒」という本を借りました。
まだ、半分くらいしか読んではいないのですが、ざっくり言うと海辺の田舎町での青年が過ごす日々、とでも申しましょうか、その中での葛藤や、淡い恋心みたいなものが綴られいて、遠い日の自分と重ね合わせるシーンがいくつかありました。
瑞々しい描写
まだ一作しか読んでいないので、三島由紀夫の凄さは分からないのですが、ざっくり70ページくらい読んだところで、風景の描写とか、青年や女性が抱く思い、みたいなものを、まるで本人が思いを綴っているかのような書きっぷり。はぁ、こういうところに作者の思いが込められているんだろうなと思うばかりです。
ストーリーの展開も面白いものではあるのですが、それ以上に、途中途中で描かれる上述のような描写のインパクトが強くて、ストーリー以上にそれのほうが強くて、半ばストーリーを忘れてしまうようでした。多分私の頭が追いついていないんだと思います。
いや、きっと三島由紀夫の凄さは、そういう瑞々しさだけではなく、ストーリー展開にもその個性が描かれているんだと思います。そういう意味で、私はおそらく、一度読んだだけだと足りなくて、何周も読むことで、彼が描きたかったことをようやく吸い取れるような気がします。
まだまだ足りないな、まだ一作目だもんな。
もうちょっと深く潜ってみたいと思います。