酒と浦島太郎の話

産業革命の頃、安くて質のあまり高くないジンが沢山出回ったそうだ。
それが、現代社会では、ストロング系チューハイと姿を変え、中~低所得者層の疲れた心を癒している姿が、あの頃と同じだと言う。

私は産業革命の時代を生きていないので、その頃のことは良く分からない。だけど酒が自分の心を癒してくれるという感覚については、完全に同意する。
酒が必要なほど心を痛めている人は、痛めている根本原因を見つけて絶やそうとはしない。

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酒は何も解決してくれない

分かっていることについて書く。
私はそれを十分に理解しているつもりでいる。

酒は、気持ちをぼんやりさせ、現実から目を背けさせてくれる。
それは数時間だけの夢見心地であり、酔いが醒めたころには現実に引き戻される。
未成年者、もしくは酒が飲めないタイプの人は、浦島太郎が竜宮城に訪れた時を想像してもらえれば良い。
彼は散々良い思いをした後、地上に戻ったらお爺さんになってしまっていた。
おそらく20代、いやもっと若い時代だったかもしれない。
そんな彼が竜宮城から帰ってきたら、お爺さんになってしまっていたのだ。現実は甘くない。

お爺さんになってしまった浦島太郎は、後悔しただろうか。
そうなることをあらかじめ知っていたら、竜宮城に行かなかっただろうか。
現実が嫌で、早くお爺さんになり、最期を迎えたいと願っていたとしたら、あの展開はその願い通りであろう。
もしかしたら浦島太郎は、それが乙姫からもらった贈り物で、心底欲しかったものかもしれない。
だとすると、あれは悪い話のように思えるが、浦島太郎の願い通り、ハッピーエンドということになるだろう。

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酒を飲んで考えること

酒を飲み続け、酔いが回ってくるに連れ、次第に自分の考えについて制御できなくなってくることがある。
私はそれを思考の爆発と勝手に名付けている。
たまに、それが良い爆発を見せることがあって、英会話が捗ったり、小説が沢山進んだりする。
現実から目を背け、右脳と左脳に良い効果をもたらしてくれるのかもしれないが、良く分からない。
ただ私の中ではそれは全体の2割程度で、残り8割はあまり記憶に残らない、散漫な思考をしたりする。
ぼんやりした頭の中で考えることも、たまには良いものだ。
あまり実にならないが。