## 星4つ
主人公は幸せな家族に恵まれず、感情移入してしまうとこっちまで気持ちが落ち込むような境遇。
私は、この先、幸せな結末が待っているに違いないと信じながら読み続けました。
どんどん先を知りたくなるような展開で、つまり私の想像をはるかに超えたストーリー展開が常に用意されていて、あっという間に読んでしまいました。
このあたりが、星4つの理由です。5つにしなかったのは、物語が短かったなぁ、というのと、主人公寄りの、主人公を助けてあげたくなっちゃうってなってる人が多くて、そこがちょっと現実とはかけ離れてるかなぁ、という点です。私、きっと現実路線の話が好きなんだと思います。
物語自体は、人との繋がりの部分が大きくフォーカスされていて、それがタイトルにも絡むのですが、この、「声にならない声」を放ってる人ってこの小説の中だけじゃないよなぁ、私だって、その、「声にならない声」を放っているけれど、それが誰にも届かないときってあるもんな。
それって、つまり、孤独ってヤツなんですかね。
## 魂の番人
文中に出てくる言葉で一番印象に残った言葉です。私は、「生きる」という意味を実感し、その意味の重たさを共有できる相手、と解釈しました。
生きるという言葉、あまりにもよく使われるし、その言葉が本当に持つ意味の重たさと比較するとあまりにも軽いですよね。
生き物って本来はシンプルで、生まれ、生き、そして死ぬという一直線上のレールを歩くだけで、その3つってそれぞれ強くて重たい意味を持っています。
それぞれが同じくらい重たいものでしょう。
だけど生まれるのと死ぬのは一瞬で過ぎ去るのにくらべ、生きるだけがとても長いです。
## キャラ立ちの良さ
町田そのこさんの作品を読むのは初めてです。
独特の空気感を纏いながら物語を綴る中で、その物語を進めていく役者たち、登場人物の個性がきちんと、ぱりっとしていて、とても良かったです。
こういう友達がいたら人生が変わっていたかも、と思ったり。
だいぶお節介な、世話を焼くのが好きな人が良くもまぁこんなに集まったもんだ、と逆に感心しました。それぞれみんな、物語を構成するのに必要な人たちばかりで、欠けていたら物語として成立しなかったでしょう。
一部を除き(主人公にキツく当たる人たちは除く)、みんないい人たちばかりで、冒頭の感想で現実からちょっとかけ離れてません?って書いちゃってますが、理想的な社会生活は、こんな感じで助け合って生きていこうとするものなのかもしれませんね。