# 読書感想文を上手に書くには(いまだ練習中の立場で書いてみる)

ここのところ本を読んだらそれをアウトプットしようと思って、いくつかブログに載せているのですが、自分の気持ちを正確に捉え、それを言葉で表すことの難しさを感じます。

思いの丈を!ぶつけたいのに!という思いを持ちつつも、それを正確に述べることの難しさ。たくさん読んで、たくさん書いていくうちにだんだん上手くなっていくのでしょうけど、コンスタントに読む+書くという作業を続けるのはなかなかしんどいものです。

# まず、心に残った部分をピックアップしてみる

最近、私が感じているのは、心に残った箇所を付箋やメモなどで残しておいて、読み終わってからそこを引用してみるということ。心に残ったのは、なぜ残ったのか、という点を突き詰めるにあたり、まず自分の手でその文章を書いてみること。そうすると、ゆっくりと頭に浸透していくのが分かります。大切なのは、それを何も考えずに書くのではなく、自分の頭で考えながら書くということです。ただ引用するのではなく、自分の言葉で吐き出す必要があるので、いったん自分の頭に取り入れて、自分がどんな反応をしたのか。それをおろそかにせず、反応も丁寧に、引用した文章とともに書き出しておきます。これが、読書感想文を書くためのタネになります。

# タネに水をやり、葉を広げていく

タネは、そのままでは芽を出しません。水をあげたり、日に当てたりする必要があります。それと同じように、本を読んで受けた反応を丁寧に紐解いていき、自分はなぜそんな気持ちになったのかを考えてみます。

例えば、走れメロスの、最初の方の文章。

メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。
太宰治 走れメロス

私はまず、ここを読んで、メロスは正義感の強い男なんだなと思いました。ただ、メロスは政治が分からないと言っているのに、それでも邪智暴虐の王を除かなければならぬ、と決意したという点、具体的なやり方も思いつかないのに、「取り除かねば!」と思っているところで、一体どうやってそんなことをやるんだろう、と疑問に思いました。

疑問に思った理由は、例えば私がメロスの立場だったら、邪智暴虐の王に会ったら殺されてしまうかもしれない、と思いました。ので、取り除きたい!と思うものの、自分の命が大切だから、尻込みしてしまってそんなことできません、ってなってしまいそうです。

だから、メロスの態度には感心しました。自分の命のことなんて何も考えずに、自分の怒りをバネにして、邪智暴虐の王を取り除きに行こうと決心したからです。村にはかわいい妹がいて、彼女と二人でのんびり暮らしている、その生活に終止符を打ってしまうかもしれないのに。

メロスは正義感が強く、後先を考えない性格で、悪く言うと自分勝手に生きてきた人なのかな、私とは違う性格をしているな、だけどどっちがいいとは言えないです。私は引っ込み思案で、メロスまでではない程度に正義感を持っているものの、今の自分の生活を終わりにしてでも正義を優先すべきかと言うと、一瞬では考えられない、むしろ諦めて、邪智暴虐の王に従ってしまうだろうと思いました。

と、こんな風に、タネに水をあげて、丁寧に広げていくのです。

# 読書感想文の文量が足りなくて困る場合

一般的に、読書感想文が嫌いな人は、「何も感想が浮かばない」のと、「いくつか感想は思いついたんだけど、それだけじゃ必要な量に足りない」という2点がありそうです。

私も子供の頃は読書感想文が苦手でした。というか今でもそんなに得意ではないです。

で、その両方の対策として、上述した、自分の心が響いた部分をたくさん増やすことが挙げられます。

「読書」した「感想」を「文」にするんです。

感想というのは、自分の反応なんです。自分が、本を読んで受けた反応、それこそが感想のタネになるのです。

だから、必要な量に足りない!と焦るのではなく、自分が反応した箇所を増やすこと、これが文量を増やす対策になります。

# 自分の言葉で語ることが難しい場合

これは私が今取り組んでいることでもあり、まだ発展途上の部分でもあるのですが、、

例えば、「エモい」とか「すごい」とか、とりあえず自分の頭の中の引き出しには言葉が見つからないんだけど、自分の心が反応した!という部分に、まずそういうとっつきやすい言葉でタグ付けをします。

そうすると、考えるきっかけになります。

– 自分はなぜ、エモいと感じたのか

– そのエモさは、どういうエモさなのか

という感じに分解していきます。

この作業は非常に辛いです。なぜなら、自分の頭の中に引き出しがないからです。ここで、適切な言葉を生み出すことによって、次、同じような感想を抱いた時、引き出しとして使うことができます。

# 語彙力という、見えないけど強力な力

齋藤孝さんあたりはその、語彙力に着目して、本を出したりしていますね。

すごい。さすがです。

↑今、私が「すごい」と感じたのはなぜか。そういうところでも自分の勉強になります。

すごいと感じたのは、多くの人が「大切だな」と感じるけれど、重要かと言うとそこまででもない感じの物事、例えば語彙力はあったら嬉しいけど、なくても別に生きていけることです。本をまったく読まない人にとっては、語彙力なんて言わばどうでも良いことの一つかもしれません。

語彙力があると、生活に鮮やかな色をつけることができます。例えば、冬の澄んだ青空を見た時。「キレイだ!」と思うことは多々ありますが、それがどのような「キレイさ」なのかを分解することができます。透き通る青を見てて気持ち良い、だとか、うっすらと霞む雲と描く、色のコントラストが美しい、美しいのはどう美しいのか。などと分解していくことで、より深い言葉で、そして自分の言葉で、表現することができるのです。