4月19日 ミルタザピンに元気を分けてもらう話

久しぶりだなー!
ミルタザピンはにこやかに、俺に手を振った。

いやーお前とはできればさよならしたかったんだけどねー、と憎まれ口をいうと彼は俺の肩をこづき、まぁそんな連れないこと言うなってー!と元気に返してきた。

ミルタザピンは元気だ。薬のパッケージが少しかすみがかった青色で、彼の眼の色と一緒だった。
その眼、綺麗だよな、ってむかーし言ったことがある。
そしたら彼は、男に言われたって嬉しくもなんともねーわ!と笑いながら言った。
飲みかけのコーラから、シュワ、と音が聞こえた。

彼は眠りを心地よいものにしてくれるんだよね、と主治医は言い、かねてから睡眠に苦手意識を持っていた俺は、主治医の言う通りにそれを処方してもらうことになった。
上述の通り以前はずーっと飲んでいて、主治医にそう言われたからきっと何かの役に立っているのだろうと考えるけれど、正直なところ眠りに落ちるスピードは、その日の身体や気分によって変わるから、ミルタザピンのおかげかどうか、はっきりと自覚できていないところがある。

だけど俺は、彼を根っからに明るいヤツと考えるようにした。
そうすることで、彼から少し元気を分けてもらえるような気がするから。
たまにそういう人、いるよね。喋ってるうちに元気を分けてもらえるような人。