# 星を掬う 町田そのこ ★★★☆☆

## 星3つ

とても重たい話です。私はこの登場人物たちの抱く感情や思考を100%受け入れることは難しくて、きちんと感情移入できませんでした。

町田そのこさんを読むのは2作目、52ヘルツのクジラたちに続いてこれです。

どちらの作品も、「家族」っていうものが作る絆とか、愛とか、そういうものをテーマに描かれており、今作もまた、家族というものの在り方を考えさせられるような内容でした。

星が3つだったのは、ストーリーが私には重すぎたからです。

それぞれみんなが重たいものを抱えていて、ぶつけ合ったり、労りあったりするんだけど、その起伏が激しくて、正直なところ私は疲れてしまいました。

町田そのこさんのすごいところは、丁寧さだと思います。ストーリーの展開もまた結構ダイナミックなんですが、それを進めるための登場人物たちが抱く心情をきちんと言語化していて、またそれが伝わりやすく、はっとさせられるシーンが何度もありました。

辛い思いをした分、報われてほしいと心の底から思いました。

ページの残りのボリュームから、そろそろフィナーレに向けて浮上していくんだろうなという予想を大きく裏切るような展開に、歯がゆい思いをしました。だけどそれでも、読みたくなってしまうのは、町田そのこさんの描く物語が魅力的だったからだと思います。

## 家族って

私は恵まれています。たぶん。

生まれ育った家族も、私が築いてきた家族も、みんないい人ばかりで、家族っていう軸で困ったことってそんなになかったように感じます。だから恵まれているんだと。

100%そうとは断言できないこともあって、おそらく私は忘れてしまっている記憶の中に、いい人、という文脈から離れているようなエピソードだってあると思いますが、それでも、総括して「みんないい人」と感じることは、きっと幸せなことなんだと思います。

家族って人間が生きていくためには必要で、子どもは成長していかなきゃいけないし、親は守ってあげなければいけません。

この本を通して、家族の在り方とか、子どもに対して同接していけばいいのかとか、問題を抱えた時にどう対峙していけばいいのかとか、そんなことを常に考えたような気がします。

みんな幸せに、健やかな家族ばっかりで、みんな素直に生きていけたらいいんだけど、そうはいかないもんな。

私の中の常識を決して押し付けることなく、広い視野で見守っていきたいです。